2008年06月13日

欧州経済見通し~ スタグフレーション回避に軸足 ~

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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< ユーロ圏: 2008年1.8%、2009年1.6% >
  • 上半期のユーロ圏の景気は概ね想定の範囲内で減速したが、国際商品価格高騰の影響で物価の上振れは予想以上に長期にわたり続く見通しとなった。ECBは中期的な物価の安定を通じて雇用と成長をサポートする立場から7月にも利上げを実施する見込み。
  • 米国経済の停滞、一部諸国の住宅市場調整、ユーロ高、インフレに利上げの影響が重なり、成長率は08年1.8%、09年1.6%に抑えられよう。インフレ率は、08年はユーロ導入以来初の3%台、09年中の安定水準(1.7~1.9%)への回帰も難しいだろう。
< イギリス: 2008年1.9%、2009年1.7% >
  • イギリスでは、金融市場混乱の影響が住宅市場に広がり、景気減速傾向が強まっている。
  • 住宅価格の逆資産効果、金融環境悪化、雇用不振が景気の重しとなるが、外需改善と住宅市場、雇用の底固さから失速は回避、成長率は08年1.9%、09年1.7%となろう。  
  • BOEは、原油・食品価格高とポンド安による物価上振れ幅は従来の想定より大きく、且つ、長期化すると見ている。追加利下げは08年10~12月期まで先送りされよう。
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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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