2021年08月26日

東南アジアで新型コロナ感染がピークアウトの兆し

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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■要旨
 
  • 東南アジアは今年に入り新型コロナウイルスの感染状況が悪化した。ワクチン接種の遅れやデルタ株の蔓延により6月中旬から感染ペースが加速し、ASEAN加盟全10カ国の1日あたりの感染者数は8月前半に一時10万人台に達した。しかし、各国の厳格な行動規制が奏功して足元の感染状況は改善し始めたかに見える。
     
  • ASEAN5の感染状況をみると、まずインドネシアが第2波からの回復基調にある。またタイは第3波のピークアウトの兆しが見えつつあり、マレーシアも感染拡大ペースが鈍化してきている。一方、フィリピンとベトナムは依然として感染の収束が見通せない状況にある。
     
  • 東南アジアは新型コロナワクチンの接種が遅れている。今後感染改善が進むに従って行動制限が緩和されると、人流が増加して感染再拡大は避けられない。当面は規制を導入しては解除する展開が予想される。変異株の脅威に対してワクチンの有効性は不透明な部分もあるが、ワクチンの普及が進めば経済活動と感染対策を両立しやすくなり、デルタ株の広がりで身動きが取れない現在の状況から抜け出せるようになるだろう。


■目次

1――新型コロナ感染がピークアウトの兆し
2――ASEAN5各国の感染状況と政府の封じ込め措置
  [インドネシア:感染状況の改善が進み、ジャカルタ首都圏の行動規制を緩和]
  [タイ:都市封鎖の対象地域拡大により感染状況改善の兆し]
  [マレーシア:ワクチン接種の進展で感染拡大ペースが鈍化、規制緩和に舵]
  [フィリピン:経済への影響を考慮して外出・移動制限を1段階引き下げ]
  [ベトナム:感染に歯止めがかからず、社会隔離措置を強化]
3――経済活動の継続に向けてワクチン接種動向がカギに
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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