コラム
2020年12月14日

年末ジャンボ まとめ買いの効用-下○ケタの番号を全部そろえる買い方は、おトク?

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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師走も半ばとなり、本来なら、そろそろ年末年始のスケジュールを考える時期だ。だが、今年は、いままさにコロナの第3波が襲来しており、帰省や旅行をどうしようか悩んでいる人も多いはずだ。そんな中、レジャー資金の活用先のひとつとして有力なのが、年末ジャンボ宝くじだ。
 
年末ジャンボの最高当せん金は、1等前後賞あわせて10億円。「毎年、連番で10枚買っているが、今年は帰省を諦めたので、浮いたお金で100枚買うつもり」などと、まとめ買いを考えている人もいるだろう。
 
では、宝くじをまとめ買いするとどうなるか、考えてみよう。

◇ 下2ケタの100通りを全部そろえて買うと、確定還元率は20%

宝くじは1枚だけ買う人がいる一方、何枚もまとめて買う人もいる。まとめて買う場合、買い方にはいくつかの種類がある。
 
よく知られているのは、「連番」や「バラ」の10枚買い(代金3000円)だろう。10枚を連続の番号で買うのが連番、バラバラの番号で買うのがバラだ。連番には1等前後賞10億円が当せんする可能性があり、バラには1枚ごとに当せんの期待感がある。
 
連番は当然だが、バラでも番号の下1ケタは0~9まで1枚ずつ買うので、10枚のうち1枚は確実に末等(賞金300円)が当たる。支払った代金に対して確実に受け取れる賞金がどれだけあるか、その割合を「確定還元率」と呼ぶことにしよう。3000円の代金を支払って、300円の賞金が確実に受け取れるから、連番やバラの10枚買いの確定還元率は10%(=300円÷3000円)だ。
 
それでは、まとめ買いの枚数を10倍の100枚にしたらどうなるか。これは「福連100」とか「福バラ100」と呼ばれる買い方だ。福連100は、組は10種類で各組の番号の下2ケタを00~99でそろえた買い方だ。番号の下2ケタを100通り全部そろえながら、連番10枚を10セット買うイメージだ。
 
福バラ100は、組は100種類で各組の番号の下2ケタを00~99でそろえて買う。番号の下2ケタを100通り全部そろえながら、1枚ごとの組も番号もバラバラになるように買う。
 
どちらも00~99まで下2ケタの100通りを全部そろえて買うのがポイントだ。このように買うと、賞金3000円(末等より1つ上の等)が1本、賞金300円の末等10本が確実に当たる。つまり6000円(=3000円×1本+300円×10本)の賞金を確実に受け取れる。100枚のくじの代金は3万円だから、確定還元率は20%(=6000円÷3万円)となる。
 
ところで、なぜ「福連100」「福バラ100」のように「福」の字が入るのか。くじを100枚買うと福があるということなのか。買い方の名前にも深い意味があるのかもしれない。

◇ 1万枚の連番まとめ買いをすると、確定還元率はどこまで高くなる?

では、もっとまとめ買いの枚数を増やすとどうなるか。福バラ100の10倍、1000枚を買うことを考えてみよう。組と番号はバラバラだが、下3ケタは000~999でそろえて買う。
 
このように買うと、年末ジャンボの場合、賞金1万円の5等が3本、3000円の6等が10本、300円の7等が100本当たる。つまり賞金9万円(=1万円×3本+3000円×10本+300円×100本)を確実に受け取れる。
 
年末ジャンボミニの場合を見てみよう。賞金1万円の3等が5本、3000円の4等が10本、300円の5等が100本当たる。賞金11万円(=1万円×5本+3000円×10本+300円×100本)の受け取りが確定する。
 
今年は去年よりも年末ジャンボも年末ジャンボミニも賞金1万円の本数が増えているが、その効果が、この確実に受け取れる額の増加としてあらわれている。
 
確定還元率はどうなるか。1000枚のくじの代金は30万円だから、年末ジャンボでは30%(=9万円÷30万円)、年末ジャンボミニでは37%(=11万円÷30万円)となる。どちらも、支払った代金の3割以上が確実に返ってくることになる。
 
それでは、もっとまとめ買いの枚数を増やして1万枚買うとしたらどうか。下4ケタを0000~9999まで1万通り、すべてそろえて買う。通常の宝くじ売り場で、いきなりこのような買い方をしようとしても、難しいようだ。まず売り場の窓口で、係の人に話して、本部に連絡してもらい、1万枚のくじを用意してもらう。販売期間の終盤になると、条件に合うくじの在庫がなくなる恐れもあるため、早めに窓口で依頼する必要があるようだ。ここでは、このように1万枚を買えたものとして話を進めてみよう。
 
このように買うと、年末ジャンボの場合、賞金5万円の4等が1本、賞金1万円の5等が30本、3000円の6等が100本、300円の7等が1000本当たる。つまり、賞金95万円(=5万円×1本+1万円×30本+3000円×100本+300円×1000本)を確実に受け取れる。
 
年末ジャンボミニの場合は、賞金5万円の2等が4本、賞金1万円の3等が50本、3000円の4等が100本、300円の5等が1000本当たる。つまり、賞金130万円(=5万円×4本+1万円×50本+3000円×100本+300円×1000本)の受け取りが確実になる。
 
確定還元率はどうなるか。1万枚のくじの代金は300万円だから、年末ジャンボでは32%(=95万円÷300万円)、年末ジャンボミニでは43%(=130万円÷300万円)となる。年末ジャンボミニでは、支払った代金の43%も確実に返ってくるわけだ。

◇ 確定還元率が高くなるといっても、せいぜい50%まで

下○ケタの連番でのまとめ買いを増やしていくと、確定還元率が上がっていくことがわかった。
 
この連番まとめ買いをもっともっと増やしていって、究極的に1ユニットまるまる買ってしまうと、年末ジャンボは49.998%、年末ジャンボミニはちょうど50%の確定還元率となる。年末ジャンボの場合は、2000万枚の代金60億円。年末ジャンボの場合は1000万枚の代金30億円を支払うことになる。
 
ここで、妙なことに気づくだろう。たとえば、年末ジャンボミニでは30億円支払って、15億円の受け取りが確定する。言い方を変えると、15億円の損失が確定する。まとめ買いをして確定還元率が高くなるといっても、せいぜい50%までにとどまるのだ。
 
それでは、確定還元率が高くなるということは何を意味するのか?
 
例えば、連番の10枚買いをすると末等1本の当せんは確定するが、同時に末等が2本以上当たらないことも確定してしまう。100枚、1000枚と連番でのまとめ買いの枚数を増やすと、同じことが末等だけでなく、末等から1つ上の等、2つ上の等にまで広がることになる。このように、下の等の賞金受け取りが確定してしまうと、宝くじのワクワク感は、上の等の当せんだけにしか残らないことになるだろう。
 
そもそも宝くじでは、安定さが求められる資産運用ではないはずだ。確定還元率を高めることにばかり気を取られることは、意味がないといえるだろう。

◇ 楽しさやワクワク感をどう味わうか

くじの買い方は人それぞれで、これが正解といえるものはない。まとめ買いをする場合には、連番、バラ、福連100、福バラ100など、いろいろ考えることになるだろう。
 
ただ、このようにいろいろ考えてくじを買うことから、すでに宝くじの楽しさは始まっているともいえる。くじを買ってから抽せん日まで、ワクワク感をどれだけ楽しめるかが勝負だ。
 
今年の年末ジャンボの販売期間は12月25日まで。大晦日が抽せん日だ。コロナ禍の気晴らしが少しでもできれば、くじを買う価値があったといえそうだが、いかがだろうか。
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篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

(2020年12月14日「研究員の眼」)

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