2018年12月21日

【アジア・新興国】東南アジア経済の見通し~19年は底堅い成長も、輸出鈍化と利上げの影響で減速傾向

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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■要旨
  1. 東南アジア経済は、18年7-9月期の成長率が低下したものの、引き続き内需を中心に底堅い成長が続いている。民間消費は良好な雇用・所得環境と物価の安定を背景に昨年から加速、また投資は企業業績の改善や設備稼働率の上昇、政府主導のインフラプロジェクトの進展により堅調に推移するなど、堅調な内需に大きな変化はみられない。また輸出は高水準が続いた昨年と比べて鈍化し、純輸出の成長率寄与度は悪化傾向にある。
     
  2. 消費者物価上昇率は、足元の原油価格下落により当面低下傾向で推移し、その後も来年末にかけて景気の伸び悩みや通貨安による輸入物価の押上げが弱まることから安定して推移すると予想する。
     
  3. 金融政策は、物価上昇と通貨の下落圧力が和らぐなか、現在引締め気味の政策スタンスが軟化するだろう。19年はアジアの中でも通貨下落に対する警戒感が強いインドネシアが米国の利上げ打ち止めまで追随的な利上げを実施、タイも金融正常化を目的に来年1-3月にもう1段の追加利上げを実施すると予想する。
     
  4. 経済の先行きは、米国が仕掛ける貿易戦争の激化により企業の投資マインドが悪化して景気が下振れる懸念が燻るものの、総じて内需中心の底堅い成長が続くと予想する。国別に19年の成長率を比較すると、輸出主導の成長加速が見込みにくいマレーシアとタイ、ベトナムは小幅に景気減速するが、選挙関連の支出拡大で消費が盛り上がるインドネシア、インフレ高進が収まるフィリピンでは18年並みの成長を予想する。
東南アジア5 カ国の成長率とインフレ率の見通し
■目次

1.東南アジア経済の概況と見通し
  ・経済概況:内需を中心に底堅く推移
  ・物価:当面は原油価格下落により低下、その後も安定して推移
  ・金融政策:引き締め姿勢は軟化へ
  ・経済見通し:景気下振れリスクを抱えるも底堅く成長
2.各国経済の見通し
  ・2-1.マレーシア
  ・2-2.タイ
  ・2-3.インドネシア
  ・2-4.フィリピン
  ・2-5.ベトナム
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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