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- 韓国でも「働き方改革」がスタート-1週間の労働時間の上限が52時間に-
1――7月1日より「週52時間勤務制」がスタート
これまでも、残業時間を含む1週間の最大労働時間は、勤労基準法の規定上は52時間であったが、「法定労働時間」を超える労働、すなわち「延長勤務」に「休日勤務」は含まれないと雇用労働部が解釈したため、労働者は1週間の法定労働時間40時間に労使協議による1週間の最大延長勤務12時間、そして休日勤務16時間を合わせた合計68時間まで働くことが許容されてきた。しかしながら、今回の改正では休日勤務は延長勤務に含まれると行政解釈をしており、1週間の最大労働時間を52時間にする「週52時間勤務制」が実施されることになった。休日勤務手当は変更されず、8時間以下分に対しては50%の加算が、8時間超過分に対しては100%の加算が適用される。
また、法定労働時間の例外適用が認められていた「特別業種」が存在していたが、労働界は今まで特例業種の認定は無制限労働をもたらすと、全面廃止を要求してきており、改正法では法定労働時間の例外適用が認められていた特例業種を従前の26業種から5業種に縮小した。今回の措置は、労働界の要求をある程度受け入れたもので、与党と野党の合意の末、特例業種を陸上運送業、水上運送業、航空運送業、その他の運送関連サービス業、保険業に制限している。一方、年少労働者の法定労働時間は1週間に40時間から35時間に、そして延長勤務時間は6時間から5時間に制限される。
一方、労働需給のミスマッチと雇用創出の不振で若者の雇用状況は改善されておらず、2017年時点の若者(20~29歳)の失業率は9.8%に達している。これは平均失業率3.7%に対しておよそ2.6倍の高さである。韓国政府は労働時間を短縮することによって、その分新たな雇用が創出されると期待し、「週52時間勤務制」を思い切って実施した。
2――「週52時間勤務制」の課題や企業の対策
一方、「週52時間勤務」の実施は、企業の労働力不足につながる恐れもある。韓国経済研究院は「週52時間勤務」の実施により、26.6万人の労働力不足が発生し、その結果、企業負担は最大年12兆ウォンまで増加すると推計した。大企業の場合は「週52時間勤務」の実施に備えて、柔軟勤務制を実施する等着実に対策を講じていたので、現在のところ大きな混乱はないようだが、中小企業の状況は異なるだろう。 就業ポータルサイトの「Incruit(インクルート)」などが352社を対象に実施した週52時間勤務制に対する調査結果によると、62.1%の企業が「まだ準備が足りない」と答えており、「準備ができている」と答えた企業の37.9%を大きく上回った。
3――韓国政府の対策と今後のあり方
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生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
03-3512-1825
- プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師
・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
東アジア経済経営学会理事
・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)
(2018年07月04日「基礎研レター」)
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