2018年06月05日

次期公的年金改革の異例な船出と異例への期待

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去る4月4日に社会保障審議会年金部会の第1回会合が開かれた。ここで、「第1回」という表現に違和感を覚える方も多いだろう。実は、2000 年の省庁再編に伴って年金審議会が年金部会に衣替えされてから、財政検証や制度改正など一定の区切りで回数がリセットされている。そのため、これで4度目の「第1回」となる。

回数は従来どおりだったが、異例だったのは委員の顔ぶれである。過去3度の第1回では、委員のほぼ全員が入れ替わり、部会長も新任者となっていた。しかし今回は、新任が4名に留まり、14 名が留任、1名が再任で、部会長の交代はなかった。

ベテラン揃いの年金部会には、議論の熟成を期待したい。前回の財政検証では、どの改正案を試算に盛り込むかで議論が紛糾した。将来見通しにそぐわない要望も出され、議論は事実上打ち切られた。今回は議論を深め、委員間で改正案を取捨選択して欲しい。

同時に、玄人議論に陥らないよう、分かりやすい情報発信にも期待したい。2004 年改正を議論した年金部会では、全国8箇所で年金対話集会を開き、委員が国民と意見交換した。なぜその改正案を検討するのか、ベテランの語り口で国民の理解を深めて欲しい。
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(2018年06月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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