2018年05月16日

【アジア・新興国】韓国の生命保険市場の現状-2017年のデータを中心に-

生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中

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■要旨
 
  • 韓国の高齢化率は2017年現在14.2%でまだ日本より低い水準であるが、その進行速度は日本より速い。2060年には高齢化率は42.2%に到達し、日本の高齢化率38.1%を上回ることが予想されている。
     
  • 2017年における生命保険の世帯加入率は84.9%で、2016年の81.8%に比べて3.1%ポイント増加した。また、生命保険加入世帯の平均加入件数は4.0件で2016年の3.5件に比べて0.5件増加している。
     
  • 2017年における生命保険の商品別世帯加入率は、疾病保障保険が72.9%で最も高く、実損医療保険(32.1%)、死亡保険(27.5%)、災害傷害保険(23.5%)などの他の商品の加入率を大きく上回った。
     
  • 2017年第3四半期における生命保険会社の保険料収入総額は25.7兆ウォンで、前年同期の27.3兆ウォンと比べて5.8%減少した。保険料収入総額で個人保険が占める割合は93.8%で、団体保険の6.2%を大きく上回っている。
     
  • 2000年以降、継続的に低下傾向にあった大手3社(サムソン生命、ハンファ生命、教保生命)の市場シェア(保険料収入が基準)は、2017年第3四半期には46.7%で、前年同期の45.3%より小幅上昇した。
     
  • 生命保険の初回保険料を基準とした販売チャネルは、過去には保険外交員による販売が多かったものの、バンカシュアランスが登場してからは保険外交員のシェアは減少傾向にある。但し、2017年第3四半期における保険外交員のシェアは26.4%で、前年同期の17.8%より8.6%ポイントも上昇した。
     
  • 最近はインターネットを中心とした情報通信技術の発達や、スマートフォンやタブレットPCの発達により、保険販売におけるオンライン販売チャネルの重要性が高まっている。韓国の保険業界も、オンライン販売の重要性を認知し、自社のホームページによる販売のみならず、オンラインショッピングモールのプラットフォームやテレビショッピング・通販などを活用しながら、オンライン販売の比重を高めている。

■目次

1――はじめに
2――加入状況
3――収支の概況
4――市場シェアの推移
5――資産運用
6――販売チャネル
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生活研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
    独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職

    ・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
    ・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
    ・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
    ・2021年~ 専修大学非常勤講師
    ・2021年~ 日本大学非常勤講師
    ・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
    ・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
    ・2024年~ 関東学院大学非常勤講師

    ・2019年  労働政策研究会議準備委員会準備委員
           東アジア経済経営学会理事
    ・2021年  第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員

    【加入団体等】
    ・日本経済学会
    ・日本労務学会
    ・社会政策学会
    ・日本労使関係研究協会
    ・東アジア経済経営学会
    ・現代韓国朝鮮学会
    ・韓国人事管理学会
    ・博士(慶應義塾大学、商学)

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