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欧州大手保険グループの2017年の生保新契約動向-新たな規制・低金利環境下での商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況はどうだったのか-
中村 亮一
1―はじめに
前回のレポート1では、生命保険事業を中心とした地域別の事業展開の状況について報告した。
新たな規制・低金利環境下で、各社とも貯蓄・年金商品等の伝統的な利率保証付商品から、ユニットリンク型商品や保障・医療商品へのシフトを志向している。こうした状況は、グループ全体として基本的には同じ方向に向かっているが、その実態は地域毎に若干異なっている。これらは、各地域の保険市場や運用市場の状況やそれらを反映した保険商品の収益性等に関係している。
今回のレポートでは、2017年の生命保険事業の新契約業績について、商品タイプ別、地域別の販売動向及び新契約マージン等の数値を通じて、欧州大手保険グループの商品シフトの現状及び収益性の状況を報告する。
1 基礎研レポート「欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2017年決算数値等に基づく現状分析-」(2018.5.2)
2―欧州大手保険グループ各社の新契約業績動向等
2 新契約価値(NBV)について、Allianz、Generali、Aviva、Aegon、ZurichはMCEV、AXA、PrudentialはEEVベースである。なお、新契約価値の地域別状況については、前回のレポートを参照していただきたい。
3 ここでの具体的な数値は、(2)以下の図表等も参照していただきたい(以下、同様)。
新契約価値マージン(対年換算保険料)の商品タイプ別状況は、以下の図表の通りとなっている。
2010年から2017年にかけては、年換算保険料について、一般勘定の保障・医療の構成比が31%から45%へと14%ポイントと大きく上昇したが、一般勘定貯蓄の構成比は25%から20%へ5%ポイント低下した。ユニットリンクの構成比は年による変動がかなり大きい。
このような商品シフトを反映して、現在のような低金利下においても、販売や収益への影響を相対的に軽減できる対策を講じてきており、その結果として、全体の新契約価値マージンは2010年の22%から、2017年の43.1%へと大きく上昇している。
(1)全体の状況
2017年の新契約価値は、2016年に比べて30%と大幅に増加して、18.82億ユーロとなった。
新契約マージン(New Business Margin)(=新契約価値/新契約保険料現在価値(PVNBP))は、2016年に比べて0.7%ポイント上昇して、3.4%となった。これは目標水準の3%を超えるものであった。
新契約保険料現在価値(PVNBP)は4.0%増加して594.69億ユーロで、その内訳は、保証付貯蓄&年金が24%(2016年は28%、以下同様)、高資本効率商品が38%(39%)、保証なしのユニットリンクが23%(18%)、保障&医療が15%(15%)、で、より高資本効率商品へのシフトが成功裏に行われたとしている。
なお、(図表にはないが)2013年と2017年の比較では、伝統的商品のシェアが52%から24%に低下し、新契約マージンは2.1%から3.4%に上昇した、と報告している。
中村 亮一
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