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- インサイダー取引規制強化の効果の再考-公表前の売買高に影響したか?
1――インサイダー取引は売買高にも表れる
実例を確認したところ、2012年に摘発された公募増資に関わるインサイダー取引の対象株式2銘柄について、売買高の異常な高まり(以下、過剰取引)が公募増資公表前に確認できる。正常期を公表日の40営業日前から21営業日前とし、各営業日の売買高が各銘柄の正常期と比べてどれほど高いかを「標準化売買高」で表す[図表1]。ひとつの目安として、この値が1.645以上(確率95%の水準)となる日は、正常期と比べて売買高が異常に高いとし、過剰取引があったとみなす。2銘柄とも、公表後に過剰取引が見られるが、これは、公募増資の公表を受けて対象銘柄への関心が高まった結果だろう。公表前について、A社は10営業日前以降からは過剰取引が見られる。一方B社は、3営業日以前では標準化売買高が1.645に達しておらず、一見すると売買高は正常期と変わらなかった。しかし、B社が公募増資を公表した時期は、日本市場全体で売買高が異常に低かった[図表2]。このことから、B社についても標準化売買高が0を上回る10営業日前以降は過剰取引があったと考えてよいのではないだろうか。このように、公募増資に関わるインサイダー取引が行われた場合、公表前の過剰取引が観測される。
2――法改正の効果は売買高にも表れていた
加藤政仁・鈴木健嗣,2013.「増資インサイダー問題と資金調達コスト」,『証券アナリストジャーナル』51巻1号,日本証券アナリスト協会
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水野 友理那
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(2018年05月01日「基礎研レター」)
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