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自動運転の普及とその道のり-完全自動運転が普及した社会とまちづくり。その5
社会研究部 都市政策調査室長・ジェロントロジー推進室兼任 塩澤 誠一郎
トヨタは所有型とサービス型の両方を開発していくとしている。所有型では、現在販売されている高級セダンと変わらない開発実験車両をウェブサイトで公開している1。自動運転の実験車両というと、屋根にカメラやレーザーといった機器を搭載して、いかにも実験車両というイメージがあるのだが、最新の実験車両は、少し前のものより格段にスタイリッシュで、所有欲を刺激するものになっている。
一方、サービス型としては、「e-Palette Concept」2を今年1月に発表した。これは、MaaS(マース)3により移動サービスを提供するコンセプトで、四角い箱に車輪が付いたシンプルな車両である。ライドシェアとして利用されるのはもちろんだが、内装を自由にカスタマイズできるため、事業者のニーズに合わせて、スニーカーショップにしたり、ピザ屋にしたり、あるいは宅配車両になったりする。
現在の事業者が所有する移動販売車と変わらないと思うかもしれないが、MaaSがあるので、需要のあるところに移動して販売することができる。これまでのように特定の場所に移動してから販売するのではない。一通り需要に応じた後は、事業者が残った商品を回収し、車両は移動サービスの基地に戻っていく。事業者、消費者両者にとってサービス型の利点がありそうである。
さて、このような所有型とサービス型がしばらく併走するとしても、いずれサービス型が優勢になるのもそれほど時間が掛からないと思われる。現在の自家用車での移動は、移動した先で駐車場がなければ何もできない。それだけでストレスの原因になる。所有型の自動運転はこのような場合どうするのだろうか?所有型専用の駐車場をつくったり、オーナーが戻るまでまちをグルグルと周回していたりするのだろうか?とても非効率だ。その間、サービス型に組み込み、必要な人にシェアしてもらうことは考えられる。そうであれば、最初からサービス型でいいのではと思ってしまうのである。
1 トヨタ 自動運転実験車「Platform 3.0」2018年01月05日ニュースリリースより
2 トヨタ「e-Palette Concept」 https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/20508200.html
3 Mobility as a Serviceの略。移動に関するモノやサービスがMaaSのシステムにつながることで、需要に対して最適な移動サービスが提供される。
03-3512-1814
- 【職歴】
1994年 (株)住宅・都市問題研究所入社
2004年 ニッセイ基礎研究所
2020年より現職
・技術士(建設部門、都市及び地方計画)
【加入団体等】
・我孫子市都市計画審議会委員
・日本建築学会
・日本都市計画学会
(2018年03月29日「研究員の眼」)
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