2018年04月04日

実効性のある政策的資産構成割合に向けて

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4月から原則として全ての確定給付企業年金(DB)で、政策的資産構成割合の策定が義務付けられる。従来、努力義務とされ、政策的資産構成割合が策定されていないDBが散見されることに対応した改正である。

根底には、政策的資産構成割合の策定が、DB運用が安定化に資するとの考え方がある。運用方針からの逸脱を防ぎ、DB運用の一貫性が確保されやすくなると同時に、資産構成を一定に保つためのリバランスを通じた運用収益の拡大や分散投資による運用効率の改善も期待されることに基づく。

長期的な維持を前提とする考え方だが、成熟度などの財政状況や運用環境の変化に対応して、政策的資産構成割合を見直すことも時に必要となろう。その際には、長引く超低金利によって多様化が進むDB運用のあり方を含めた高度な判断も要求される。

こうした中、適時適切な見直しを通じて、政策的資産構成割合の実効性を維持していくためには、運用担当者と母体企業との間で情報を共有しつつ、相互に年金運用への理解を深めていくことが必要だ。DB運用の安定化を図る上では、政策的資産構成割合の策定だけでなく、運用体制の強化も求められる。
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(2018年04月04日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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