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- 【豪州GDP】10-12月期は前年同期比0.4%増~民間消費が堅調に推移~
1 106四半期連続でリセッション(2四半期以上連続のマイナス成長)を回避しての景気拡大となった。
1.四半期GDP概況(需要側):消費が内需を牽引
政府消費も、同1.7%増と前期の同0.2%増から加速した。特に、連邦政府の支出が同3.3%増と高い伸びとなった。
好調な結果となった消費に比べて、総固定資本形成は前期比1.2%減と前期の同2.4%増から悪化した。公的固定資本形成は同2.9%増と前期(同7.0%減)から改善したものの、民間部門の悪化(同2.2%減、前期:同5.1%増)が響いた。民間部門の内訳は、外国人投資家に対する増税と融資規制の強化の余波で住宅投資が同1.3%減(前期:同1.7%減)、民間設備投資が前期(同10.0%増)の反動から同2.7%減と落ち込んだ。
純輸出は輸出が同1.8%減、輸入が同0.5%増となった結果、成長率寄与度が-0.5%ポイント(前期:同 -0.3%ポイント)と成長率を押し下げた。通関ベースで見ると、10-12月は輸出が前期比でほぼ横ばいであったが、輸入が増加したことで、貿易収支が小幅の赤字に転じた。輸入は、企業の生産活動の回復を背景に中間財の増加が押し上げた。
2.四半期GDP概況(供給側):サービス業が牽引
鉱工業は、前期比0.1%増と増加したものの、前期(同0.8%増)から伸びが鈍化した。鉱工業の内訳は、鉱業が同1.3%増(前期:同1.1%減)と改善した一方で、製造業が同1.0%減(前期:同1.7%増)、電気・ガス・水道業が同0.8%減(前期:同1.8%増)、建設業が同0.3%増(前期:同1.3%増)と悪化した。
農林水産業は、前期比2.7%減と前期(同5.9%減)から減少幅が縮小したものの、低迷が続いている。農林水産業の内訳は、農業が同3.1%減(前期:同6.5%減)、林業・水産業が同0.1%減(前期:同2.6%減)と、ともに減少幅は縮小した。
3.先行きのポイント
労働市場では、2017年以降、フルタイム労働者を中心に就業者数が増加し、失業率の低下傾向が続いている(図表3)。賃金上昇率は労働需給の逼迫や7月の最低賃金引き上げなどの材料がありながらも依然として鈍い。しかし、足元では上向きの兆しが見られる(図表4)。実質賃金上昇率についても2017年初はマイナスであったが、低インフレもあいまってプラスに転じた。今後も労働需給の逼迫を背景に、雇用環境は緩やかながら改善していくと予想される。
また、5月に発表される18-19年度予算案2で検討されている中産階級向けの所得税減税の行方が注目される。当初、連邦政府は18-19年度予算案において法人税減税を進めていたが3、野党の反対によりその実現が難しくなったことから、妥協案として中産階級向けの所得税減税を検討していると見られる。2020/21年度までの財政黒字化達成を目指しているため、減税規模が制限されることも考えられるが、もしこの所得税減税が実現すれば、可処分所得の増加を通じて民間消費の押上げに寄与すると期待される。
主力輸出品である鉄鉱石の価格は、2017年初から一進一退の展開が続いているが、中国のインフラ投資需要の拡大を背景に、需要は引き続き底堅く推移しており、これ以上の底割れは考えにくい。鉄鉱石価格が堅調に推移する限り、今後も関連企業の業績改善を通じた民間投資の拡大に寄与するだろう。
なお、米国のトランプ大統領が表明した鉄鋼とアルミニウムへの輸入関税賦課が実施された場合、対米鉄鋼・アルミ輸出への直接的な悪影響に加え、他国からだぶついた鉄鋼・アルミが流入することで国内鉄鋼・アルミ産業が打撃を受けることも考えられ、今後の動向が注目される。
2 オーストラリアの会計年度は7月から翌年6月まで。
3 法人税率を現行の27.5%~30%から一律25%まで引き下げる減税案。
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(2018年03月07日「経済・金融フラッシュ」)
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