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「妻の就業」×「家事・育児分担」男性の意識47都道府県マトリクス分析-未婚少子化データ考-男性の本音にみるエリア特性
生活研究部 人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子
3――「妻の家事育児分担」×「妻の仕事」価値観マトリクスからわかる 都道府県別の男性の本音
(1) 女性の社会進出に多元的に肯定的な「リベラル系男性エリア」が20エリアを占め、4グループ中、最多となった
(2) 女性の社会進出には肯定的とはいえない「家庭は女性任せ系男性」エリアが2番目に多く、15エリアとなっている。
(3) エリア数的には多くはないが、家事育児は女性のものとは思わないものの、妻に家庭にいて欲しい「家事育児はあくまでサブ希望系エリア」(お手伝い希望エリア)は全国に点在し、地理上の特徴よりも大阪府や神奈川県といった若い男女に人気の大都市圏エリア占有率が高い。
(4) 「リベラル系男性エリア」は出生率で2を達成し若い人口も流入している、人口の自然増・社会増ともに多い「人口勝ち組」の沖縄県ならびに東北エリア、九州の南部に多く、地理的特徴がみられる。
(5) 「家庭は女性任せ系男性エリア」は西日本に集中しており、近畿・中部・中国・瀬戸内海沿岸エリアに多いという地理的な特徴がみられる。
(6) 「スーパーウーマン期待系男性エリア」には若い男女に全国一番の人気を誇る東京都が入っており、エリアとしては関東比率が高い。
2章でも述べたが、「結婚後も女性が仕事を持つことに対して理解ある」男性だからといって、その男性がそのままイクメン思想であったり、家庭に協力的であったりするかはわからない。専業主婦願望の女性が必ずしも男性が仕事だけに専念することに理解があるかどうかはわからないことと同様、ケースバイケースである。
「専業主婦妻理想度×イクメン消極度 マトリクス」で見た場合、スーパーウーマン期待系男性の6エリア(東京、群馬、埼玉、石川、岐阜、大分)は、女性から見ると結婚前には予想もしなかった落とし穴が潜んでいる可能性が他のエリアに比べて高いかもしれない。
この6エリアは「私の仕事に理解がある彼」ではあるものの、それですぐに飛びつかずに、結婚後の家庭における家事や子育てについての男性の価値観をきっちり確認するなど、結婚後の二人の生活のすみずみまで話し合うことが必要であることをマトリクスは示しているようである。
また、「家事育児はあくまでサブ希望系男性」(神奈川、福島、大阪、和歌山、岡山、長崎)6エリアも要注意であるかもしれない。
家事や子育てに対して男性が行うことに理解があるからといって、「結婚後も働けるかもしれない」とすぐに飛びつく前に、女性が働くことについてそもそも好意的かどうか、確認する必要はありそうである。家事や子育てに関して「あくまでサブで」お手伝いする気があるものの、メインは妻で家庭に入って欲しい、という男性が「他のエリアに比べて」割合が高いようにマトリクスからはみえてくる。
4――おわりに
筆者
「どうして学生時代から付き合っていたラブラブだった女性と離婚したのですか?」
彼
「奥さんは公務員みたいに定時に帰ってきて休日も家族サービスして構ってくれる男性がよかったんじゃないの。でも、僕は仕事が大事だから」
筆者
「そんな大事なこと、結婚前に話し合わないものなのですか」
彼
「(鼻で笑い)しないよ、そんなの」
20年たった今でも、大都会のスーパーエリートに過剰な期待をして飛びつき、結婚後に不満を漏らす女性はあとを絶たない。
3組に1組へと離婚率が上昇する中で、かつてないほどに「印象論だけではない結婚観」に対する学びの重要性が、社会に求められているように感じる。
内閣府.「平成27年 地域における女性の活躍に関する意識調査」
最高裁判所事務総局「司法統計」
厚生労働省.「平成28年 人口動態調査」
総務省統計局.都道府県別オープンデータ(2017年6月公表最新版)
天野 馨南子.“「夫は仕事、妻は家庭」が理想の男性比率 47都道府県価値観ランキング(1)-未婚化データ検証「理想の彼はどこにいる?」” ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2017年12月11日号
天野 馨南子.“「「夫は仕事、妻は家庭」エリア支持率 47都道府県価値観ランキング(2)-未婚社会データ検証「ふたりの居場所はどこにある?」” ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2017年12月25日号
天野 馨南子.“2つの出生力推移データが示す日本の「次世代育成力」課題の誤解-少子化社会データ再考:スルーされ続けた次世代育成の3ステップ構造-” ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2016年12月26日号
天野 馨南子.“未婚の原因は「お金が足りないから」という幻想-少子化社会データ検証:「未婚化・少子化の背景」は「お金」が一番なのか-” ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2016年9月5日号
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(2018年03月05日「基礎研レポート」)
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