2018年02月09日

Jリート市場は2年ぶりに反落。物件取得額は大きく鈍化-不動産クォータリー・レビュー2017年第4四半期

金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人

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1. 経済動向と住宅市場

2017年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比年率2.5%へ上方修正された。円安や海外経済の回復に伴う輸出の増加や好調な企業業績を背景に設備投資の回復が続いている。経済産業省によると、10-12月期の鉱工業生産指数は前期比1.8%と7期連続で上昇し前期の0.4%から大きく加速した1(図表-1)。
図表-1 鉱工業生産(前期比)
ニッセイ基礎研究所は、昨年12月に経済見通しの改定を行った。実質GDP成長率は2017年度1.9%、2018年度1.2%、2019年度1.0%を予想する(図表-2)2。実績値の上方修正などを受けて、2017年度の成長率見通しを0.3%上方修正した。
図表-2 実質GDP成長率の推移(年度)
住宅市場は価格が強含むなか概ね横ばいで推移している。2017年12月の新設住宅着工戸数は76,751戸(前年比▲2.1%)となり6ケ月連続で減少した。このうち、全体の4割超を占める貸家が都市部以外での需要減を受けて7ケ月連続で減少している。新設住宅着工戸数は2017年全体でも前年比▲0.3%の約96.4万戸となり3年ぶりに減少した。(図表-3)。
図表-3 新設住宅着工戸数(全国、年間)
2017年の首都圏のマンション新規発売戸数は35,898戸(前年比0.4%)となり4年ぶりに増加した。都区部での販売増加が全体を下支えた。1戸当たりの平均価格は1990年以来の高値となる5,908万円(前年比7.6%)、㎡単価は5年連続上昇の85.9万円(前年比8.3%)となった。不動産経済研究所は、2018年の供給戸数について5.9%増加の3.8万戸を予想している(図表-4)。
図表-4 首都圏のマンション新規発売戸数(年間)
東日本不動産流通機構(レインズ)によると、2017年第4四半期の首都圏中古マンションの成約件数は9,018件(前年同期比▲3.2%)となり11四半期ぶりに減少した。2017年全体では3万7,329件(前年比0.4%)で過去最高を記録したが足もとでは頭打ち感も見られる(図表-5)。成約価格は前年比4.8%の3,195万円となり5年連続で上昇した。
図表-5 首都圏の中古マンション成約件数(年間)
また、日本不動産研究所が発表した2017年11月の住宅価格指数(首都圏の中古マンション)は前月比0.9%となり3ケ月連続で上昇している。(図表-6)。

今後の住宅市場については、貸家着工と関連性の高い個人の貸し家業向け貸出(アパートローン)の動向や来年10月の消費税率引き上げを前にした駆け込み需要などが注目される。
図表-6 不動研住宅価格指数(首都圏の中古マンション)
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金融研究部   不動産調査室長

岩佐 浩人 (いわさ ひろと)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

経歴
  • 【職歴】
     1993年 日本生命保険相互会社入社
     2005年 ニッセイ基礎研究所
     2019年4月より現職

    【加入団体等】
     ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
     ・日本証券アナリスト協会検定会員

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