2018年01月31日

2017年10-12月期の実質GDP~前期比0.2%(年率0.8%)を予測

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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・公的固定資本形成~2016年度補正予算の効果一巡から減少

公的固定資本形成は前期比▲0.6%と2四半期連続の減少を予測する。
公共工事請負金額、出来高の推 公共工事の先行指標である公共工事請負金額は2017年7-9月期に前年比▲7.9%の大幅減少となった後、10-12月期は同1.1%と持ち直した。一方、公共工事の進捗を反映する公共工事出来高(建設総合統計)は2017年4-6月期に前年比8.1%と7四半期ぶりの増加となったが、7-9月に同4.1%と伸びが鈍化した後、10、11月の平均は前年比2.4%と伸び率がさらに低下している。なお、建設総合統計は2017年4月から新推計に移行しているため、2017年4月以降の前年比は新推計に基づく参考数値との比較である。

公的固定資本形成は、2016年度補正予算の執行本格化から2017年4-6月期に前期比4.6%の高い伸びとなったが、その効果が一巡した7-9月期から2四半期連続で減少した。2017年度補正予算では災害復旧等・防災・減殺事業で1.3兆円が計上される見込みだが、執行は2018年度にずれ込むことから、公的固定資本形成は2018年1-3月期も減少する可能性が高いだろう。
・外需~輸入の高い伸びから2四半期ぶりのマイナス寄与
 
外需寄与度は前期比▲0.1%(前期比年率▲0.3%)と2四半期ぶりのマイナスとなった。財貨・サービスの輸出は前期比2.1%と好調を維持したが、7-9月期の落ち込みの反動、国内需要の持ち直し、通信機(スマートフォン等)の急増などから、財貨・サービスの輸入が前期比2.5%と輸出を上回る高い伸びとなったため、外需は成長率の押し下げ要因となった。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移 10-12月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲2.1%(7-9月期:同2.8%)、EU向けが前期比0.1%(7-9月期:同▲3.7%)、アジア向けが前期比4.2%(7-9月期:同2.4%)、全体では前期比2.0%(7-9月期:同1.8%)となった。

自動車輸出が不調だった米国向けは3四半期ぶりのマイナスとなったが、IT関連を中心とした世界的な製造業サイクルの好転を背景に高い伸びを続けるアジア向けが牽引役となり、輸出は全体として好調を維持している。
日本・月次GDP予測結果
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

(2018年01月31日「Weekly エコノミスト・レター」)

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