- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国経済の成長率は2018年6.5%、2019年6.2%と予想
2018年の中国経済を考えると、消費に関しては中間所得層の増加に伴う消費のサービス化という「長期トレンド」、ネット販売化が消費を刺激するという「中期トレンド」が引き続きプラス要因となって消費を牽引すると見られる。しかし、2017年末には小型車減税が終了する見込みであり、現在7.5%の自動車取得税が10%に戻ることになれば2018年の自動車販売は鈍化しそうである。また、ここもとの景気回復を受けて中国政府は金融政策を景気重視からその副作用(住宅バブルやレバレッジ拡大など)の抑制に軸足を移した。その影響で住宅販売は鈍化すると見られるため、好調だった家具や家電の消費にも悪影響が及び消費は小幅ながら鈍化するだろう。
投資に関しては、過剰設備・過剰債務問題を抱える構造不況業種(鉄鋼、採掘など)の投資が引き続き足かせとなるのに加えて、景気対策縮小に伴うインフラ投資の鈍化、バブル抑制策に伴う住宅着工の鈍化などマイナス要因が目立つ。ただし、「中国製造2025」や「インターネット+」に対する手厚い政策支援を背景に新興産業は高水準の投資が期待できる。したがって、投資の伸びは小幅な鈍化に留まるだろう。また、輸出は世界経済の持続的回復や「一帯一路」の沿線地域への影響力拡大がプラス要因となるものの、国内生産の製造コストが上昇した中で、製造拠点を後発新興国へ移転する動きは外資系企業ばかりでなく中国国内の企業でも盛んなため、輸出の伸びは小幅に留まると予想している。
今後の成長率は、2018年は前年比6.5%増、2019年は同6.2%増と緩やかな減速を予想する。しかし、経済成長は緩やかに減速するものの悲観はしていない。景気対策(金融緩和による住宅販売促進、小型車減税、インフラ投資の加速など)の縮小で成長率は減速するものの、他方で財政・金融政策の裁量余地を広げることになるため、将来のショックに対する耐久力はむしろ強化され、持続的な安定成長につながると見られるからだ。また、2017年の消費者物価は前年比1.6%上昇、2018年は同2.7%上昇、2019年は同2.3%上昇と予想している(図表2)。
なお、中国経済の最大のリスクは住宅バブルにあると考えている。住宅バブルが崩壊すれば、金融システムが不安定化する恐れがあるからである。そもそも中国では、過剰設備・過剰債務問題を解消すべくゾンビ企業の淘汰を進めており、不良債権は増加傾向にある 。それに加えて、2016年に急増した個人の住宅ローンまで返済が滞るようだと、銀行が抱える不良債権は急増する恐れがある点には注意が必要だろう。
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
研究・専門分野
(2018年01月09日「ニッセイ年金ストラテジー」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年03月29日
急速に導入が進むインドの再生可能エネルギー~2030年の国際公約達成を狙える位置に -
2024年03月29日
身体活動基準2023~座位行動時間、筋トレに関する指針が追加 -
2024年03月29日
鉱工業生産24年2月-不正問題の影響で自動車生産が一段と落ち込む -
2024年03月29日
管理職志向が強いのはどんな女性か~「中高年女性会社員の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」より(6) -
2024年03月29日
雇用関連統計24年2月-就業者数が大幅に増加する一方、新規求人数は減少が続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
-
2023年04月27日
News Release
【中国経済の成長率は2018年6.5%、2019年6.2%と予想】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済の成長率は2018年6.5%、2019年6.2%と予想のレポート Topへ