2017年12月14日

【12月米FOMC】予想通り、政策金利を0.25%引き上げ。18年の年3回利上げ見通しを維持

経済研究部 主任研究員   窪谷 浩

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1.金融政策の概要:政策金利を0.25%引き上げ、18年の政策金利見通しを維持

米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が12月19-20日(現地時間)に開催された。FRBは、市場の予想通り、政策金利の0.25%引き上げを決定した。バランスシート政策に変更はない。

今回発表された声明文では、景気の現状認識部分では、前回から大幅な変更はなし。一方、ハリケーン後の経済指標が揃ってきたこともあり、ハリケーンの影響に関する記述が見通しから実績を示す表現に修正された。また、経済見通しの部分では、労働市場に関して改善が長期化していることもあって、一段の改善を見込む表現から足元の堅調な現状を維持する表現に変更された。最後にガイダンス部分の変更はなかった。

今回の金融政策決定に際しては、シカゴ連銀のエバンス総裁と、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の2名が政策金利の現状維持を主張して反対した。

今回発表されたFOMC参加者の見通しは、前回(9月)から成長率や失業率が上方修正された一方、物価見通しについては概ね維持された。また、政策金利の見通しについては、20年が小幅に上方修正されたほかは前回から変更はなかった。

2.金融政策の評価:来年以降も政策金利の引き上げは継続、税制改革の効果を見極め

政策金利の0.25%引き上げは当研究所の予想通り。税制改革の実現可能性が高まる中で注目されたFOMC参加者の見通しでは、税制改革の効果で18年の成長率や失業率が上方修正された一方、インフレ率や政策金利見通しが据え置かれた。イエレン議長は記者会見で税制改革の影響について複数の質問を受けたが、税制改革の実現によって経済に好影響があることを認めた上でその効果や時期について依然不透明であることを強調した。このため、税制改革の動向や、経済への影響が今後より明確となる中で、政策金利見通しが見通される可能性が高い。

一方、今回の記者会見では来年2月以降、新議長に就任するパウエル氏に対する質問も出た。イエレン議長は、パウエル氏がこれまでの金融政策方針で反対票を投じたことが無いことを挙げ、FRBには緩やかに金融政策を実施することに対する強いコンセンサスがあることを強調し、パウエル新議長下でも大きな金融政策方針の変更が無いことを示唆した。

もっとも、18年のFOMC会合で投票権を持つ12名のうち、欠員や未承認のメンバーが半数を占めていることから、今後の人選によってはこれまでの金融政策方針の軌道修正がされる可能性は否定できない。

3.声明の概要

(フォワードガイダンス、今後の金融政策見通し)
  • 既に実現した労働市場環境や物価、およびこれらの今後の見通しを考慮して、委員会はFF金利の目標レンジを1.25-1.50%に引き上げた(政策金利の変更を反映)
  • 金融政策スタンスは依然として緩和的であるため、強い労働市場の状況や、物価の2%への持続的な上昇を下支えする(「労働市場環境の幾分かの改善」”some further strengthening in labor market conditions”から「強い労働環境」”strong labor market conditions”に景気判断部分の表現変更に平仄を合わせる形で変更 )
  • FF金利の目標レンジに対する将来の調整時期や水準の決定に際して、委員会は経済の現状と見通しを雇用の最大化と2%物価目標に照らして判断する(変更なし)
  • これらの判断に際しては、雇用情勢、インフレ圧力、期待インフレ、金融、海外情勢など幅広い情報を勘案する(変更なし)
  • 委員会は、対称的な物価目標に関連させて、物価の実績と将来見通しを注意深くモニターする(変更なし)
  • 委員会は、FF金利の緩やかな上昇のみを正当化するような経済状況の進展を予想しており、暫くの間、中長期的に有効となる水準を下回るとみられる(変更なし)
  • しかしながら、実際のFF金利の経路は、今後入手可能なデータに基づく経済見通しによる(変更なし)
 
(景気判断)
  • 労働市場は引き続き力強さを増し、経済活動は堅調に増加した(「ハリケーンに伴う破壊にも拘らず」”despite hurricane-related disruptions”を削除)
  • ハリケーンに伴う変動を均せば雇用の伸びは堅調で、失業率はさらに低下した(「ハリケーンが9月に雇用減少をもたらした」“the hurricanes caused a drop in payroll employment in September”を削除し、「雇用の伸びは堅調」”job gains have been solid”を追加)
  • 家計消費は緩やかに増加したほか、設備投資の伸びはここ数四半期に加速した(変更なし)
  • ハリケーン後にガソリン価格が上昇したことが、9月の総合インフレを押し上げた。しかしながら、食料品とエネルギーを除いたインフレ率は低い状況が続いている(今回削除)
  • 前年比でみた総合および食料品とエネルギーを除いたインフレ指標は、今年低下し2%を下回っている(小幅な表現変更)
  • 市場が織り込むインフレ率は、依然として低位に留まっている(変更なし)
  • 調査に基づく長期物価見通しは、全般的には変化に乏しい(変更なし)
 
(景気見通し)
  • ハリケーンに伴う破壊と再建は、ここ数ヵ月間の経済活動、雇用やインフレに影響を及ぼした(「影響を及ぼし続ける」”will continue to affect”から「影響を及ぼした」”have  affected “予想から実績に表現変更)
  • しかしながら、過去の経験からは、暴風が中期に渡って経済全体の方向を著しく変える可能性が低いことを示唆している(今回削除)
  • しかしながら、米経済の見通しを著しく変えることはなかった(今回追加)
  • 委員会は、金融政策スタンスの漸進的な調整により、経済活動は緩やかに拡大し、労働市場は強い状況が続くと予測している(労働市場が「更に強くなる」”strengthen somewhat”から「強い状況が続く」”remain strong”に表現に修正)
  • 前年比でみたインフレ率は短期的には幾分2%を下回るものの、中期的に委員会の目標とする2%近辺で安定すると予想する(変更なし)
  • 経済見通しに対する短期的なリスクは概ねバランスしている(変更なし)
  • 委員会は、引き続きインフレ動向と世界経済および金融情勢を注視する(変更なし)
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

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