2017年12月12日

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(12月号)~輸出は新型スマホ発売の影響で一段と上昇

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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インドネシアの17年10月の輸出額は前年同月比18.4%増(前月:同15.7%増)と上昇し、4ヵ月連続の二桁増を記録した。輸出の伸び率は、コモディティ価格の上昇と資源需要の拡大を受けて高水準で推移している。一方、輸入額は前年同月比23.3%増(前月:同13.1%増)と上昇した結果、貿易収支は9.0億ドルの黒字と、前月から8.8億ドル黒字が縮小した(図表9)。

輸出を品目別に見ると、石油ガスが同33.8%増(前月:同35.6%増)と高水準を維持した(図表10)。非石油ガスでは、輸出全体の7割を占める製造品が同12.7%増(前月:同12.0%増)と若干上昇した。電気機械(同3.4%減)は2ヵ月連続で減少したものの、アパレル(同13.6%増)や自動車・同部品(同9.9%増)が高水準を維持すると共に、鉱石、スラグ及び灰(同75.0%増)が増加した。また鉱業品は同49.2%増(前月:同29.6%増)と上昇した一方、農産品は同8.4%減(前月:同9.2%減)と減少傾向が続いた。
(図表9)インドネシアの貿易収支/(図表10)インドネシア輸出の伸び率(品目別)
シンガポールの17年10月の輸出額(石油と再輸出除く)は前年同月比23.1%増と、前月(同0.3%減)の下振れから急上昇した。輸出の伸び率は、主力の電子製品と医薬品を中心に上下に振れているものの、石油化学製品の堅調な拡大が続いており、総じて増加基調は続いているものと見られる。なお、総輸出額は前年同月比12.5%増(前月:同4.5%増)、総輸入額も同18.5%増(前月:同9.9%増)と、それぞれ上昇した結果、貿易収支は31.7億ドルの黒字と、前月から8.7億ドル黒字が縮小した(図表11)。

輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品は同6.4%増と、前月の同7.3%減から上昇し、2ヵ月ぶりのプラスとなった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、IC(同17.6%増)とPC(同15.1%増)、通信機器(同17.1%増)が前月からプラスに転じた一方、PC部品(同33.1%減)とダイオード・トランジスタ(同27.3%減)はそれぞれ大きく低下してマイナスとなった。また電子製品と同じく全体の約3割を占める化学も同31.9%増(前月:同7.5%減)から大きく上昇して2ヵ月ぶりのプラスとなった。化学製品の内訳を見ると、医薬品が同27.4%増(前月:同35.6%減)と大きく上昇、石油化学製品も同25.2%増(前月:同12.3%増)と好調に推移した。
(図表11)シンガポール貿易収支/(図表12)シンガポール輸出の伸び率(品目別)
フィリピンの17年10月の輸出額は前年同月比6.6%増と、前月の同4.9%増から上昇した。輸出は海外経済の回復を受けて電子製品を中心に好調に推移してきたが、足元ではベース効果が剥落して輸出の勢いは弱まりつつある。一方、輸入額も前年同月比13.1%増(前月:同4.4%増)と上昇した。結果、貿易収支は28.4億ドルの赤字と、前月から7.7億ドル赤字が拡大した(図表13)。

輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の約5割を占める電子製品は同13.8%増と、前月の同6.7%増から上昇した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、遠距離通信機器(同3.6%減)が低迷したほか、電子データ処理機(同3.7%増)、計測制御機器(同1.7%増)が伸び悩んだものの、主力の半導体デバイス(同15.9%増)が大きく上昇した。

その他9品目については金(同297.0%増)や電子機械・部品(43.3%増)、金属部品(同21.9%増)、バナナ(同20.8%増)、その他鉱業品(同19.6%増)が増加した一方、機械・輸送用機器(同27.4%減)、ココナッツオイル(同26.8%減)、イグニッション・ワイヤーセット(同8.1%減)、その他製造品(同6.2%減)が減少するなど、総じて増加した品目が多かった。
(図表13)フィリピンの貿易収支/(図表14)フィリピン 輸出の伸び率(品目別)
 
 

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

(2017年12月12日「経済・金融フラッシュ」)

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