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このような動きを受け、CEPが企業経営の成果に及ぼす影響に関する研究も活発化している。CEPを高めることはコストがかかるため短期的には企業の財務パフォーマンス(Corporate Financial Performance; 以下CFP)を低下させる可能性はある。その一方CEPを高めることは原材料費の節約や消費者イメージの向上によりCFP を高める可能性もある。更にはCEPを高めるための取り組みが企業のイノベーション能力の向上につながる可能性も指摘されている。CEPとCFPとの関係に関する実証分析も盛んに行われているが、着目するCEP指標、分析方法、分析対象により結果は様々であり、現在のところ統一した見解は得られていない。
ESG投資におけるCEPの評価では、どのようなCEP指標を用いるかも重要な問題である。実際、近年の研究によれば、各ESG評価機関が提供しているCEP指標間の相関は決して高くないことが明らかになっている。ESG投資の環境評価においては、ESG評価機関のレーティング方法を比較し運用方針に合うレーティングを選択することも重要であろう。そうした中、今後の動きとして注目されるのは国際的な温室効果ガスに関する情報開示基準を提示するGHGプロトコル1の動きであろう。2011年に公表されたプロトコルでは、図表2に示すようにサプライチェーンも含めた温室効果ガス排出量の開示(Scope3)が提示されている。つまり、原材料の調達から消費者への流通、廃棄、再利用に至る製品のライフサイクルに亘った環境負荷の把握である。日本企業の間でもScope3に基づく情報開示を行っている企業は増加してきている。今後のESG投資においても、こうした動きを考慮した評価が必要になってくる可能性がある。
1 同プロトコルを作成しているGHGプロトコルイニシアチブはWRI(世界資源研究所)とWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)を中心に設立された国際的な組織であり、各国の企業、政府機関、NGOも参加している。
東京理科大学 経営学部
佐々木 隆文
研究・専門分野
(2017年12月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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