2017年11月16日

2017~2019年度経済見通し(17年11月)

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■要旨
実質成長率:2017年度1.6%、2018年度1.2%、2019年度1.0%を予想
 
  1. 2017年7-9月期の実質GDPは前期比年率1.4%と7四半期連続のプラス成長となったが、民間消費、住宅投資が7四半期ぶりに減少するなど、家計部門は弱い動きとなった。
     
  2. 先行きについては、輸出が底堅さを維持する中、企業収益の大幅改善を背景に設備投資の伸びが高まり、企業部門(輸出+設備投資)主導の成長が続くだろう。
     
  3. 一方、家計部門は名目賃金の伸び悩みや物価上昇に伴う実質所得の低迷から、低調な推移が続く。2018年度は3年ぶりに春闘賃上げ率が高まるが、物価上昇ペースの加速によりその効果は減殺される。また、年金給付の抑制などから家計の可処分所得の伸びが雇用者報酬を大きく下回ることも、引き続き消費の抑制要因となるだろう。実質GDP成長率は2017年度が1.6%、2018年度が1.2%、2019年度が1.0%と予想する。
     
  4. 消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、需給バランスの改善、円安、原油高による輸入物価上昇などを反映し、2018年後半には1%台に達することが予想される。ただし、賃金上昇率が低い中ではサービス価格の上昇圧力も限られるため、2%に達することは難しい。年度ベースの上昇率は2017年度が0.7%、2018年度が1.0%、2019年度が1.2%(消費税の影響を除く)と予想する。
実質GDP成長率の推移(年度)
■目次

1. 2017年7-9月期は年率1.4%と外需主導で7四半期連続のプラス成長
  ・景気回復期間は戦後2番目の長さに
  ・賃上げを巡る環境は大きく改善
  ・輸出は再び勢いを取り戻す
2. 実質成長率は2017年度1.6%、2018年度1.2%、2019年度1.0%を予想
  ・当面は企業部門の成長が続くが、2018年度以降は成長率が低下
  ・2019年10月の消費税率引き上げの影響
  ・需要項目別の見通し
  ・物価の見通し
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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