- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 【7-9月期米GDP】前期比年率+3.0%、ハリケーンの影響にも拘らず、堅調な伸びを維持
2017年10月30日
1.結果の概要:成長率は前期比並みの堅調な伸びを維持、市場予想も上回る
7-9月期の成長率を需要項目別にみると、前期に好調であった個人消費が前期比年率+2.4%(前期:+3.3%)となったほか、民間設備投資も+3.9%(前期:+6.7%)と前期から伸びが鈍化した(図表2)。また、住宅投資が▲6.0%(前期:▲7.3%)と2期連続のマイナスとなったほか、政府支出も▲0.1%(前期:▲0.2%)と3期連続のマイナスとなった。
一方、外需の成長率寄与度が+0.41%ポイント(前期:+0.21%ポイント)とプラス幅を拡大したほか、在庫投資の成長率寄与度が+0.73%ポイント(前期:+0.12%ポイント)とプラス幅が大幅に拡大した。このため、当期の堅調な成長率は在庫投資の積み上がりの影響が大きかったと言えよう。
8月から9月にかけて、ハリケーン「ハービー」および「イルマ」の2つの大型ハリケーンがテキサス州やフロリダ州を襲い大きな被害をもたらしたことから、7-9月期の成長率は前期から大幅に低下するとみられていた。しかしながら、在庫投資の大幅な押し上げや、ハリケーンに伴う復興需要を考慮する必要はあるものの、当期の成長率が前期並みの水準を維持したことから、ハリケーンの影響を除いた米経済の基調は非常に強いと考えられる。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
一方、外需の成長率寄与度が+0.41%ポイント(前期:+0.21%ポイント)とプラス幅を拡大したほか、在庫投資の成長率寄与度が+0.73%ポイント(前期:+0.12%ポイント)とプラス幅が大幅に拡大した。このため、当期の堅調な成長率は在庫投資の積み上がりの影響が大きかったと言えよう。
8月から9月にかけて、ハリケーン「ハービー」および「イルマ」の2つの大型ハリケーンがテキサス州やフロリダ州を襲い大きな被害をもたらしたことから、7-9月期の成長率は前期から大幅に低下するとみられていた。しかしながら、在庫投資の大幅な押し上げや、ハリケーンに伴う復興需要を考慮する必要はあるものの、当期の成長率が前期並みの水準を維持したことから、ハリケーンの影響を除いた米経済の基調は非常に強いと考えられる。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
2.結果の詳細:
(個人消費・個人所得)全体では消費鈍化も、復興需要から自動車関連は大幅増加
7-9月期の個人消費は、財消費が前期比年率+4.2%(前期:+5.4%)、サービス消費が+1.5%(前期:+2.3%)と、いずれも前期から伸びが鈍化した(図表3)。もっとも、財消費のうち、耐久消費財は+8.3%(前期:+7.6%)とこちらは前期から伸びが加速した。自動車・自動車部品が+14.7%(前期:+0.8%)と前期から大幅に伸びが加速したことが大きいが、これはハリケーンで損傷した自動車の復興需要とみられる。
非耐久財は、+2.1%(前期:+4.2%)と前期から伸びが鈍化したが、衣料・靴▲0.5%(前期:+9.9%)や、ガソリン・エネルギー▲4.8%(前期:+8.2%)などで前期からマイナスに転じたことが大きい。とくに、ガソリン・エネルギーは、名目ベースでは+2.7%増加しているため、ハリケーンに伴うガソリン価格の上昇が実質ベースの減少に影響したとみられる。
サービス消費では、外食・宿泊が+2.8%(前期:▲0.6%)となったほか、娯楽サービスも+3.7%(前期:+1.4%)と前期から伸びが加速した一方、住宅・公共料金が+0.2%(前期:+3.4%)と前期から伸びが鈍化した。
一方、実質可処分所得は前期比年率+0.6%(前期:+3.3%)と前期から伸びが鈍化し、個人消費の伸びを大幅に下回った(図表4)。この結果、貯蓄率は3.4%(前期:3.8%)と前期から低下した。
7-9月期の個人消費は、財消費が前期比年率+4.2%(前期:+5.4%)、サービス消費が+1.5%(前期:+2.3%)と、いずれも前期から伸びが鈍化した(図表3)。もっとも、財消費のうち、耐久消費財は+8.3%(前期:+7.6%)とこちらは前期から伸びが加速した。自動車・自動車部品が+14.7%(前期:+0.8%)と前期から大幅に伸びが加速したことが大きいが、これはハリケーンで損傷した自動車の復興需要とみられる。
非耐久財は、+2.1%(前期:+4.2%)と前期から伸びが鈍化したが、衣料・靴▲0.5%(前期:+9.9%)や、ガソリン・エネルギー▲4.8%(前期:+8.2%)などで前期からマイナスに転じたことが大きい。とくに、ガソリン・エネルギーは、名目ベースでは+2.7%増加しているため、ハリケーンに伴うガソリン価格の上昇が実質ベースの減少に影響したとみられる。
サービス消費では、外食・宿泊が+2.8%(前期:▲0.6%)となったほか、娯楽サービスも+3.7%(前期:+1.4%)と前期から伸びが加速した一方、住宅・公共料金が+0.2%(前期:+3.4%)と前期から伸びが鈍化した。
一方、実質可処分所得は前期比年率+0.6%(前期:+3.3%)と前期から伸びが鈍化し、個人消費の伸びを大幅に下回った(図表4)。この結果、貯蓄率は3.4%(前期:3.8%)と前期から低下した。
(民間投資)設備投資は、建設投資が減少
7-9月期の民間設備投資の内訳をみると、知的財産投資が前期比年率+4.3%(前期:+3.7%)と前期から伸びが加速したほか、設備機器投資も+8.6%(前期:+8.8%)と前期の高い伸びを維持した(図表5)。一方、建設投資が▲5.2%(前期:+7.0%)と前期からマイナスに転じており、当期の民間設備投資の成長鈍化は、主に建設投資の落ち込みによるものと言える。
7-9月期の民間設備投資の内訳をみると、知的財産投資が前期比年率+4.3%(前期:+3.7%)と前期から伸びが加速したほか、設備機器投資も+8.6%(前期:+8.8%)と前期の高い伸びを維持した(図表5)。一方、建設投資が▲5.2%(前期:+7.0%)と前期からマイナスに転じており、当期の民間設備投資の成長鈍化は、主に建設投資の落ち込みによるものと言える。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1824
経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月18日
サイレントマジョリティ⇒MAGAで熱狂-米国大統領選挙でリベラルの逆サイレントマジョリティはあるか- -
2024年04月18日
「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向【2023年】(1)~東京23区の新築マンション価格は前年比9%上昇。資産性を重視する傾向が強まり、都心は+13%上昇、タワーマンションは+12%上昇 -
2024年04月17日
IMF世界経済見通し-24年の見通しをやや上方修正 -
2024年04月17日
不透明感が高まる米国産LNG(液化天然ガス)輸入 -
2024年04月17日
英国雇用関連統計(24年3月)-失業率は増加し、雇用者数も減少
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【【7-9月期米GDP】前期比年率+3.0%、ハリケーンの影響にも拘らず、堅調な伸びを維持】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【7-9月期米GDP】前期比年率+3.0%、ハリケーンの影響にも拘らず、堅調な伸びを維持のレポート Topへ