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- EU離脱協議本格化へ-広がり始めた英国経済への影響
2017年08月28日
■要旨
- 英国のEU離脱協議が本格化し、離脱に動き出した影響は統計でも確認できるようになってきた。実質所得の減少で個人消費は減速、ビジネス投資は伸び悩み、EU市民の英国からの流出は加速している。離脱協議の進展を待たずにEU離脱に向けた準備は進む。英国民の不安・不満の高まりと潜在成長率の低下が懸念される。
- 8月28日から31日までの4日間、第3回の英国のEUの離脱協議が予定されている。7月の第2回協議でEU側から「戦略の不明確さ」を指摘された英国は、8月15日からの10日間で離脱交渉と将来の関係に関する合計7本の文書を公開、協議への意欲を示した。第1段階の協議の進展を評価する10月のEU首脳会議を前に協議のペースを加速、19年3月に迫る離脱への不安を少しでも早く緩和したいとの英国政府の思いが伺われる。
- EU側は、英国の交渉加速への意欲自体は評価しつつ、提言の内容は実体を欠くと評価している。最大の問題は第1段階の協議の優先課題とすることで合意したはずの清算金について英国が方針を表明していないことだ。EUが清算金を棚上げしたまま10月の首脳会議で「十分な進展」を認め、第2段階の離脱後の協議入りを認めることは考え難い。英国が「戦略的遅延」の方針を転換しなければ無秩序な離脱への不安は高まり続ける。
- 世界金融危機後、イングランド銀行(BOE)の権限は強化された。金融政策と金融システムの安定を担うBOEにも、あらゆる事態を想定した対応が求められている。
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