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- 2016年度 生命保険会社決算の概要
2017年09月07日
1―保険業績(全社)
生命保険協会加盟41社が、2016年度決算を公表した。41社合計では、新契約高は2.4%増加、保有契約高は0.1%増加となった。これらを、伝統的生保(14社)、外資系生保(15社)、損保系生保(5社)、異業種系生保等(6社)、かんぽ生命に分類し、業績を概観したのが図表1である。
基礎利益は、全体で1.7%増加した。ただし、この中には再保険収支等が一時的に増加した会社も含まれており、41社のうち23社は減少している。
新契約年換算保険料の状況が図表2である。かんぽ生命を除く40社合計で、個人保険は対前年▲0.6%減少した。また、個人年金は7.5%の増加となった。第三分野については、引き続き進展し、9.1%の増加となった。
基礎利益は、全体で1.7%増加した。ただし、この中には再保険収支等が一時的に増加した会社も含まれており、41社のうち23社は減少している。
新契約年換算保険料の状況が図表2である。かんぽ生命を除く40社合計で、個人保険は対前年▲0.6%減少した。また、個人年金は7.5%の増加となった。第三分野については、引き続き進展し、9.1%の増加となった。
3―2017年度以降への展望
1|資産運用方針
低金利(あるいはマイナス金利)下における資産運用の困難さや、特に貯蓄性商品の取扱いは、引き続き大きな課題である。
国内大手社が公表した2017年度の資産運用方針をみると、やはり国内債券については減少させる方向のようである。逆に外国株式・債券を横ばいまたは増加させる方針となっている。また国内株式は一時期リスク管理の観点から減少させる傾向もあったが、今回は全体としてはやや増加させる方向にあるようである。これは債券の利息が低い現状では相対的に高い水準にある株式配当金の収入に期待していると考えられる。同様に、不動産投資についても不動産賃貸収入に期待するところが大きいということで増加させる方針の会社もある。また、保険商品サイドのほうをみれば、2017年度中に新しい外貨建保険の発売を始める、という会社がいくつか見られる。これは、生命保険会社が為替変動リスクを抱えることなく、顧客も比較的高い利回りを得られる可能性のあるものである。顧客・保険会社双方が、仕組やリスクを充分に理解するならば、低金利下における保険商品として好ましい結果をもたらすかもしれない。
2|標準死亡率の改定
さて、保険商品の設計・販売政策に関して注目される動きは、新聞報道等では、2018年4月からと予想されている標準生命表の改定(標準死亡率の引下げ)であろう。
この際、普通に考えられるのは、定期保険など死亡保障商品における保険料値下げである。これは危険差益が小さくなる方向である。図表5でみた費差益・危険差益をさらに分けて開示している会社をみると、危険差益は「潤沢ではあるが、減少傾向」、費差益は「水準も低く、かつ減少傾向」という状況にある。この潤沢さに代表される近年の死亡率の状況を、反映するのがこの生命表改定なのだが、3利源ともさらに苦しい状況になってくる。
また、医療保険については、今までより長生きして病気になる分を見込むことから、保険料は逆に値上げになるようだ。その分必要な責任準備金負担も増加する。
果たして各社どのような保険料改定、販売戦略をめざすのか、引き続き興味深いところである。
低金利(あるいはマイナス金利)下における資産運用の困難さや、特に貯蓄性商品の取扱いは、引き続き大きな課題である。
国内大手社が公表した2017年度の資産運用方針をみると、やはり国内債券については減少させる方向のようである。逆に外国株式・債券を横ばいまたは増加させる方針となっている。また国内株式は一時期リスク管理の観点から減少させる傾向もあったが、今回は全体としてはやや増加させる方向にあるようである。これは債券の利息が低い現状では相対的に高い水準にある株式配当金の収入に期待していると考えられる。同様に、不動産投資についても不動産賃貸収入に期待するところが大きいということで増加させる方針の会社もある。また、保険商品サイドのほうをみれば、2017年度中に新しい外貨建保険の発売を始める、という会社がいくつか見られる。これは、生命保険会社が為替変動リスクを抱えることなく、顧客も比較的高い利回りを得られる可能性のあるものである。顧客・保険会社双方が、仕組やリスクを充分に理解するならば、低金利下における保険商品として好ましい結果をもたらすかもしれない。
2|標準死亡率の改定
さて、保険商品の設計・販売政策に関して注目される動きは、新聞報道等では、2018年4月からと予想されている標準生命表の改定(標準死亡率の引下げ)であろう。
この際、普通に考えられるのは、定期保険など死亡保障商品における保険料値下げである。これは危険差益が小さくなる方向である。図表5でみた費差益・危険差益をさらに分けて開示している会社をみると、危険差益は「潤沢ではあるが、減少傾向」、費差益は「水準も低く、かつ減少傾向」という状況にある。この潤沢さに代表される近年の死亡率の状況を、反映するのがこの生命表改定なのだが、3利源ともさらに苦しい状況になってくる。
また、医療保険については、今までより長生きして病気になる分を見込むことから、保険料は逆に値上げになるようだ。その分必要な責任準備金負担も増加する。
果たして各社どのような保険料改定、販売戦略をめざすのか、引き続き興味深いところである。
03-3512-1833
経歴
- 【職歴】
1987年 日本生命保険相互会社入社
・主計部、財務企画部、調査部、ニッセイ同和損害保険(現 あいおいニッセイ同和損害保険)(2007年‐2010年)を経て
2012年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
・日本証券アナリスト協会 検定会員
(2017年09月07日「基礎研マンスリー」)
公式SNSアカウント
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