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- 総人口の減少を緩和した国内の外国人人口の増加
人口減少の拡大が懸念される一方、実際の2016年10月までの総人口の減少幅は前年比で▲16万2千人減となり(総務省「人口推計」)、上記の予測(同▲25万7千人減)と比べ減少幅が大幅に小さかった。その理由のひとつが、国内に居住する外国人人口の急増だ。予測では一年間の外国人の入国超過数を過去のトレンドから6万9千人と仮定しているが、実際には13万6千人と想定の2倍ほどに達したのだⅰ。
総務省「人口推計」によると、外国人は2013年から増加に転じ、2016年には前年比で13万7千人の増加となった(図表1)。2016年の日本人人口が前年比で▲29万9千人の減少だったため、日本人の人口減少の半分近くを外国人の人口増加が補ったことになる。
1 外国人の入国超過数は、2011 年は前年比-5万1千人減、2012 年は同-5万6千人減、2013 年は同3万7千人増、2014 年は同6万人増、2015 年は同9万5千人増であった(国立社会保障・人口問題研究所)。
国内の外国人人口の2割弱が居住する東京都区部においても、外国人人口の増加は顕著だ。2016 年の総人口増加数(9万7千人)のうちの32.9%に相当する3万2千人が外国人だった。区別にみると、新宿区では2016 年の人口増加の61.7%が外国人であり、豊島区では68.7%、足立区では70.6%となるなど、人口増加の半分以上が外国人という区は6区に、人口増加の3割以上が外国人という区は12 区を占めた。
外国人の増加の結果、都区部では人口の4.41%が外国人となった(2000 年は2.93%)。全国で最も外国人人口の多い市区町村である新宿区の外国人比率は12.2%で、豊島区は9.5%、荒川区は8.4%となり、この比率は上昇傾向にある。日本に居住する外国人には特に20~30 歳代の若年層が多い。そこで、20~24 歳について外国人の総人口に占める比率をみると、新宿区では37.4%、豊島区で33.3%に達し、この2区では20 歳代前半の人口の1/3 以上が外国人という状況になっている(図表2)。
低金利等を背景に、年金をはじめとする機関投資家による不動産投資が拡大している。不動産投資に対する最大の懸念は国内の人口減少ではないだろうか。外国人人口の増加は日本人の人口減少の影響を緩和するとともに、立地や分野によっては不動産需要の拡大をもたらす可能性も高いと思われる。
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竹内 一雅
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(2017年09月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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