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- 資金循環統計(17年1-3月期)~個人金融資産は、前年比48兆円増加の1809兆円に、企業の現預金残高は過去最高を更新
2017年06月27日
1.個人金融資産(17年3月末): 16年12月末比では5兆円減
2017年3月末(2016年度末)の個人金融資産残高は、前年比48兆円増(2.7%増)の1809兆円となった1。残高は過去最高を記録した昨年12月末(1815兆円)に次ぐ高水準。年間で資金の純流入が26兆円あったほか、年度後半の株価回復と円高是正によって、時価変動2の影響がプラス22兆円(うち株式等がプラス17兆円、投資信託がプラス3兆円)発生し、資産残高が押し上げられた。
四半期ベースで見ると、個人金融資産は前期末(昨年12月末)比で5兆円の減少となった。例年1-3月期は一般的な賞与支給月を含まないことからフローで流出超過となる傾向があり、今回も6兆円の流出超過となったためである。なお、市場ではトランプ新政権の期待後退などからやや円高が進んだものの、株価が底堅く推移したため、時価変動の影響はプラス0.2兆円(うち株式等がプラス0.6兆円、投資信託がマイナス0.3兆円)と、ほぼ中立に留まった(図表1~4)。
四半期ベースで見ると、個人金融資産は前期末(昨年12月末)比で5兆円の減少となった。例年1-3月期は一般的な賞与支給月を含まないことからフローで流出超過となる傾向があり、今回も6兆円の流出超過となったためである。なお、市場ではトランプ新政権の期待後退などからやや円高が進んだものの、株価が底堅く推移したため、時価変動の影響はプラス0.2兆円(うち株式等がプラス0.6兆円、投資信託がマイナス0.3兆円)と、ほぼ中立に留まった(図表1~4)。
ちなみに、家計の金融資産は、既述のとおり1-3月期に6兆円減少したが、この間に金融負債は3兆円増加したため、金融資産から負債を控除した純資産残高は9兆円減の1492兆円となった。こちらも過去最高であった昨年12月に次ぐ高水準となっている(図表5)。
なお、その後の4-6月期については、一般的な賞与支給月を含むことから、例年フローで10兆円前後の流入超過となる傾向が強い。さらに、金融市場では3月末から株価が大きく上昇しているため、時価変動の影響も10兆円余り資産の増加に寄与していると推測される。従って、6月末時点の個人金融資産残高は3月末から20兆円余り増加し、過去最高を更新すると見込まれる。
1 今回、遡及改定ならびに推計方法の見直しにより、2005年以降の数値が改定となっている。
2 統計上の表現は「調整額」(フローとストックの差額)だが、本稿ではわかりやすさを重視し、「時価(変動)」と表記。
なお、その後の4-6月期については、一般的な賞与支給月を含むことから、例年フローで10兆円前後の流入超過となる傾向が強い。さらに、金融市場では3月末から株価が大きく上昇しているため、時価変動の影響も10兆円余り資産の増加に寄与していると推測される。従って、6月末時点の個人金融資産残高は3月末から20兆円余り増加し、過去最高を更新すると見込まれる。
1 今回、遡及改定ならびに推計方法の見直しにより、2005年以降の数値が改定となっている。
2 統計上の表現は「調整額」(フローとストックの差額)だが、本稿ではわかりやすさを重視し、「時価(変動)」と表記。
2.内訳の詳細: 投資信託への資金流入が回復
リスク性資産に関しては、株式への資金流入が0.5兆円と前年同時期の流入額(2.0兆円)を下回ったものの、投資信託への資金流入が2.4兆円と前年同時期(0.2兆円の流出)から回復をみせた。市場がやや落ち着きを取り戻したうえ、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象拡大といった制度的な追い風もあり、投資信託を通じた投資が持ち直したとみられる。
ただし、対外証券投資(0.9兆円の流出)、外貨預金(0.1兆円の流出)などその他リスク性資産への資金流入は進んでいないうえ、既述のとおり、(一定の元本保証がある)流動性預金への選好が極めて強いことからも、まだ家計がリスク選好の動きを大きく強めたわけではないと考えられる。
なお、株と投資信託に外貨預金や対外証券投資などを加えたリスク性資産の残高は312兆円、その個人金融資産に占める割合は17.2%と、昨年12月末の310兆円、17.1%からそれぞれ増加・上昇している。投資信託への資金流入がその主因である。
その他証券では、国債への資金流出入が流出から流入に転じた点が目立つ。国債への資金流入は、2008年10-12月期以来のこととなる。個人向け国債には最低金利保証(0.05%)が付いており、預金に対する投資妙味が高まったことや、金融機関が積極的にキャンペーンを実施したことが底入れに寄与したとみられる(図表6~9)。
ただし、対外証券投資(0.9兆円の流出)、外貨預金(0.1兆円の流出)などその他リスク性資産への資金流入は進んでいないうえ、既述のとおり、(一定の元本保証がある)流動性預金への選好が極めて強いことからも、まだ家計がリスク選好の動きを大きく強めたわけではないと考えられる。
なお、株と投資信託に外貨預金や対外証券投資などを加えたリスク性資産の残高は312兆円、その個人金融資産に占める割合は17.2%と、昨年12月末の310兆円、17.1%からそれぞれ増加・上昇している。投資信託への資金流入がその主因である。
その他証券では、国債への資金流出入が流出から流入に転じた点が目立つ。国債への資金流入は、2008年10-12月期以来のこととなる。個人向け国債には最低金利保証(0.05%)が付いており、預金に対する投資妙味が高まったことや、金融機関が積極的にキャンペーンを実施したことが底入れに寄与したとみられる(図表6~9)。
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
公式SNSアカウント
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