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- 貸出・マネタリー統計(17年5月)~不動産向け貸出は過去最高を更新
2017年06月09日
1.貸出動向: 不動産向け貸出は過去最高を更新
次に、為替変動等の影響を調整した「特殊要因調整後」の銀行貸出伸び率(図表1)1を見ると、直近判明分である4月の伸び率は前年比3.0%と3月からわずかに低下したものの、高い伸びを維持している。前述の見た目の銀行貸出の伸び率が昨年9月以降に大きく上昇してきた背景には、円高の一巡(図表3)に伴って外貨建て貸出の円換算額が回復したことがあるが、為替変動の影響を除いた実勢としても、持ち直し基調が続いている。
5月分に関しては未判明だが、ドル円レートの前年比が4月よりも円安方向に振れており(図表3、見た目の伸びの上昇要因)、見た目の伸びが為替によってかさ上げされた面があるものの、影響は限定的とみられる。5月の特殊要因調整後の伸び率も4月に比べて明確に上昇していると推測される。
5月分に関しては未判明だが、ドル円レートの前年比が4月よりも円安方向に振れており(図表3、見た目の伸びの上昇要因)、見た目の伸びが為替によってかさ上げされた面があるものの、影響は限定的とみられる。5月の特殊要因調整後の伸び率も4月に比べて明確に上昇していると推測される。
また、5月18日に公表された1-3月の貸出先貸出金によれば、3月末の貸出の伸び率は、多くの業種向けで前回(昨年12月末時点)から改善している(図表4)。
なお、全体の約15%を占め影響の大きい不動産向けについては、前年比6.6%と、前回(7.0%)からやや低下したものの、引き続き高い伸び率を維持。不動産向けの内訳である個人による貸家業向けも4.1%と全体の伸び率(3.0%)を上回っている。不動産向けとその内訳としての個人による貸家業向けの貸出残高は、それぞれ統計開始(各1970年3月末分、2009年6月分)来の最高を更新している。
この不動産向けと個人による貸家業向けについて、フローの概念である新規貸出額(設備資金)を見ると、それぞれ、近年の増加トレンドが確認できる(図表5)。直近1-3月分の伸び率については、不動産向けが前年同期比0.7%、個人による貸家業向けが同▲0.2%と、それぞれ増勢が一服しているが、それでもほぼ過去最大規模の融資資金が不動産向けに流入したことになる。
日銀の大規模緩和を通じた超低金利による利払い減、採算が圧迫された銀行による積極的な貸出姿勢、相続税増税に伴う節税需要の増加という要因が、複合的に影響しているとみられる。
なお、全体の約15%を占め影響の大きい不動産向けについては、前年比6.6%と、前回(7.0%)からやや低下したものの、引き続き高い伸び率を維持。不動産向けの内訳である個人による貸家業向けも4.1%と全体の伸び率(3.0%)を上回っている。不動産向けとその内訳としての個人による貸家業向けの貸出残高は、それぞれ統計開始(各1970年3月末分、2009年6月分)来の最高を更新している。
この不動産向けと個人による貸家業向けについて、フローの概念である新規貸出額(設備資金)を見ると、それぞれ、近年の増加トレンドが確認できる(図表5)。直近1-3月分の伸び率については、不動産向けが前年同期比0.7%、個人による貸家業向けが同▲0.2%と、それぞれ増勢が一服しているが、それでもほぼ過去最大規模の融資資金が不動産向けに流入したことになる。
日銀の大規模緩和を通じた超低金利による利払い減、採算が圧迫された銀行による積極的な貸出姿勢、相続税増税に伴う節税需要の増加という要因が、複合的に影響しているとみられる。
1 特殊要因調整後の残高は、1カ月遅れで公表されるため、現在判明しているのは4月分まで。
2.マネタリーベース: 国債買入れペース鈍化の影響が鮮明に
5月末のマネタリーベース残高は前月比6.2兆円減の456.0兆円に留まっている。5 月は季節柄、日銀当座預金が増加しにくい事情があり2、季節性を除外した季節調整済み系列で見ると前月比5.6兆円増となるが、それでも、積み上げペースに従来ほどの勢いはない(図表8)。
また、同じく季節性が含まれないマネタリーベース(末残)の前年比増加額を見ると、ピークである2015年9月には86兆円に達していたほか、昨年前半までは概ね80兆円で推移していたが、直近5月は69兆円まで縮小している。近頃、日銀の国債買入れペースが鈍化していることが、マネタリーベースにも増勢鈍化という形で現れている。
2 資金吸収要因である財政資金の受け超になりやすいほか、国債の発行超も大きい傾向がある。
また、同じく季節性が含まれないマネタリーベース(末残)の前年比増加額を見ると、ピークである2015年9月には86兆円に達していたほか、昨年前半までは概ね80兆円で推移していたが、直近5月は69兆円まで縮小している。近頃、日銀の国債買入れペースが鈍化していることが、マネタリーベースにも増勢鈍化という形で現れている。
2 資金吸収要因である財政資金の受け超になりやすいほか、国債の発行超も大きい傾向がある。
3.マネーストック: マネーの伸びは高水準を維持、投資信託の勢いは戻らず
M3の内訳では、現金通貨の伸び率が前年比4.5%(前月は4.2%)と高まった一方で、普通預金など預金通貨の伸び率が同8.3%(前月改定値は8.4%)とやや低下、CD(譲渡性預金)の伸びもマイナスに転じたため、影響が相殺された。定期預金など準通貨の伸び率も▲1.5%(前月改定値は▲1.7%)とマイナス幅を縮小したものの、前年比マイナスが続いている(図表10)。
M3に投信や外債といったリスク性資産等を含めた広義流動性の伸び率は前年比2.8%(前月改定値は2.6%)と前月から上昇、昨年10月(1.3%)を底として伸びが回復してきている(図表9)。
内訳としては、既述のとおりM3の伸びは前月から横ばいに留まったが、金銭の信託(前年比▲0.9%、前月改定値は▲0.1%)がプラスに転じたほか、国債(同▲7.4%、前月改定値は▲9.7%)がマイナス幅を縮小したことが寄与した。
なお、投資信託(元本ベース)の伸び率は前年比2.0%(前月も同じ)と、低迷が続いている(図表11)。5月も米トランプ政権の先行き不透明感や欧州の政治リスクへの懸念などから、家計等において代表的なリスク性資産である投信への投資を見合わせる動きが続いた可能性が高い。
3 今回、定例見直しによって、2003年4月以降の幅広い系列が改定されている。
内訳としては、既述のとおりM3の伸びは前月から横ばいに留まったが、金銭の信託(前年比▲0.9%、前月改定値は▲0.1%)がプラスに転じたほか、国債(同▲7.4%、前月改定値は▲9.7%)がマイナス幅を縮小したことが寄与した。
なお、投資信託(元本ベース)の伸び率は前年比2.0%(前月も同じ)と、低迷が続いている(図表11)。5月も米トランプ政権の先行き不透明感や欧州の政治リスクへの懸念などから、家計等において代表的なリスク性資産である投信への投資を見合わせる動きが続いた可能性が高い。
3 今回、定例見直しによって、2003年4月以降の幅広い系列が改定されている。
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(2017年06月09日「経済・金融フラッシュ」)
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