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図表でみる中国経済(人口問題編)-「人口ボーナス」から「人口オーナス」へ、バブル崩壊の遠因になる恐れも
三尾 幸吉郎
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1――「富士山型」から「つぼ型」へ変化
2――人口問題が経済成長の足かせに
人口増加率の低下は経済成長にマイナスの影響を与える。人口増加率が低下すれば、一人当たり個人消費が増えない限り、個人消費の伸びも低下するからだ。前述のとおり人口増加率は改革開放直後の1.455%(1981年)から0.586%(2016年)へと低下した。この間の平均寿命は、政治的に安定したことや経済的に豊かになったことなどを背景に67.77歳(1981年)から76.34歳(2015年)へ伸びた。しかし、将来の食糧難に備えて1979年に「一人っ子政策」を導入したことから出生率(年出生人数÷年平均人数)は2.091%(1981年)から1.295%(2016年)へと大きく低下し、人口増加率を低下させることとなった(図表-4)。
また、人口ピラミッドの「富士山型」から「つぼ型」への変化も経済成長にマイナスの影響を与える。「富士山型」の時期には、新たに経済活動に従事する若年層が年々増えるため、所得の伸びも高くなり経済成長を後押しする(人口ボーナス)。しかし、「つぼ型」の人口ピラミッドになると、新たに経済活動に従事する若年層が年々減少するため、経済成長の足かせとなる(人口オーナス)。
経済活動人口の推移を見ると、長らく右肩上がりで増加し、中国経済に「人口ボーナス」をもたらしてきた(図表-5)。しかし、財やサービスの生産をする上で中心的な役割を担う生産年齢人口(15~64歳)は、既に2013年の10億582万人をピークに減少に転じており、2016年には10億260万人とピークから322万人も減少している。そして、十分豊かになる前に高齢化が進む「未富先老」への懸念が高まってきた。そこで、前述の3中全会では「漸進的な定年引き上げ政策を研究・策定する」との方針を示し、「人口オーナス」がもたらす経済への悪影響を少しでも緩和しようと動き出した。
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