コラム
2017年04月17日

新幹線の自由席に乗車して-乗客の行き先を明示するステッカーを導入してはどうですか-

保険研究部 取締役   中村 亮一

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はじめに

これから、ゴールデンウィークのシーズンを迎えるが、この時期にいつも気になるのは、新幹線の込み具合である。

実はこの前の春のお彼岸に実家の浜松に帰省した。この時に東京駅始発であるにも関わらず、東京駅発の「ひかり」号で自由席に空席が無く、三島駅までの45分間立っていかざるをえない経験をした。計画性がないといってしまえばそれまでだが、基本的にはこれまでこの時期にこれほどの混雑を経験したことがなかったので、若干驚いてしまった。東京駅から乗車した私でさえ、このような状態だったので、品川駅や新横浜駅からの自由席の乗客はやはり立っていかざるを得ない状況だった。

いずれにしても、自由席で立ちながら、三島駅では是非席を確保したいものだと思っていた。もし三島駅で席を確保できなければ、さらに静岡駅まで22分間立っていかざるをえなくなるが、それは勘弁願いたいと思っていた。幸いに、私が立っていた前の席の人が三島駅で下車したので、席を確保することができた。さらに、静岡駅で多くの人が下車したので、静岡駅以降は、少なくとも私が乗車していた車両で立っている人はいなくなっていた。

実は、こうした経験は、年末年始の繁忙期に実家の浜松から東京に帰ってくる際に、何度か経験していた。浜松駅に停車する「ひかり」号は1時間に1本のため、指定席を確保していないと、浜松駅では自由席に座れないこともたびたびある。ただし、次の静岡駅で下車する人が多いため、通常は静岡駅で席を確保できることが多かった。

乗客の下車駅がわからないものか

前置きが長くなったが、自由席で立っている時に、いつも思うのだが、自分の周りにいる席の人がどこで下車するのかがわかれば、本当にありがたいことだと思う。その人の前に立っていれば、その人が下車する際に自分の席を確保できることになる。いつ座ることができるかの将来を予測できることで、立っていてもあまり疲れを感じないような気もするだろう。さらには、運悪く、自分より後の駅から乗車した人が席が確保できたのに、自分は引き続き立ち続けなければならない状況になったときの何ともやるせない思いを経験することもなくなるだろう。

自由席に行く先を示すステッカーを導入してはどうか

ということで、「自由席では、自分の下車駅を示すことになるステッカーを前の席のシートに貼るというような制度を導入してはどうか」と思った次第である。これにより、自由席で立っている人がどの席がどの駅で空く可能性があるのかを知ることができるようになる。

ステッカーは、窓口で切符購入時に窓口の職員からもらう形にする。自動販売機等で購入した人のためには、どこかにステッカーのためのボックスを置いて、乗客が自分の下車駅のステッカーを持っていくようにする。座席に座ったら、そのステッカーを自分の前の席のシート(最前列の場合には、自分の席のシート)に貼り付ける。

ただし、こうすると、自分の行き先が他の乗客にわかる形になってしまうので、プライベートな情報が開示されるような感じで拒否したい人もいるかもしれない。その意味では「ステッカー貼り」は強制ではなく、あくまでも自発的なルールとすることが考えられる。

さらには、コストや実質的な必要性から、このような取扱いは、ピーク時(年末年始、ゴールデンウィーク、お盆、春・秋のお彼岸時、シルバーウィーク等)のみに限定することが適当と考えられる。

ステッカー導入の効果

鉄道会社の観点からは、ステッカーを導入することは確かに新たな負荷になるかもしれないが、これにより乗客の満足度が増し、サービスのレベルが上昇したと感じられるようになるのではないか。

本当は、自由席で座っている人に、どこで下車するのですか、と聞いて回ればよいのだが、日本人はシャイなので、なかなかそのようなことはできない。以前一度そのような男性に巡り合ったことがあるが、家族のために空きそうな席を探し回っており、いい意味で感心させられた。聞かれた人も何となくプレッシャーを感じてしまうし、自ら「私はどこどこの駅で降ります。」と言う人もあまりいない。精々、次の停車駅が近づいてきた時に、近くに立っている人に「私は次の駅で降りますので、この席は空きますよ。」と言ってくれる人がいるくらいだろう。

しかし、自分の下車駅をステッカーで示すというルールができれば、多くの人が他の乗客のことも考えて、抵抗感もなく行えるのではないかと思われる。なお、下車する時には、ステッカーをはがしていくことも忘れないことが大切になる。

欧州の例

欧州の列車に乗車していると、指定席と自由席の車両が必ずしも分かれているわけではなく、両者が1つの列車の中に並存している。車両の席の上や、コンパートメントの入口に、どの駅からどの駅までは指定席になっている、という情報が示されている。乗客は、自分の乗車区間において、指定されていない席に座ることになる。ただし、このシステムだと、長距離の区間を利用する場合において、自分が座っていた席が、乗車時には指定席ではなくても、急にある駅から指定席になったりするリスクもあるような気もしているが、その点がどのようなシステムになっているのかはよくわからない。

いずれにしても、欧州ではこのようにある程度乗客の行き先を示すことが行われており、そのこと自体はあまり問題がなく行われているように思われるが、いかがであろうか。

まとめ

「ステッカー貼り」が必要な時期やルートや時間帯は限定されるかもしれないが、少なくともこのような仕組みの導入を有難く思う人はかなりいるのではないか、と感じた次第である。

本当は、ピーク時には前もって計画的に指定席を取得しておくのが筋であり、仕事等の用事もそれに合わせて計画的にこなしていくことが望ましいが、なかなか自らのスケジュール通りにならないケースもあり、計画的な取得ができないケースも多い。是非このような制度の導入を検討していただきたいと思ったものである。

追記

実はこんなことをしなくても、東京駅の始発であれば、他にもいくつか採りうる手段があると言われてしまいそうだ。具体的には、

(1)「ひかり」号ではなくて、「こだま」号を利用すればよい。
浜松駅なら、「ひかり」号を利用する場合に比べて、30分程度時間がかかるが、空いている可能性が高くなると思われる。

(2)次の列車を待てばよい。
ただし、浜松駅に停車するのは、「ひかり」号の一部(1時間に1本)と「こだま」号に限られる。

(3)早めにきて、並んだらよい。
その通りなのだが、時間を有効活用しようと思うと、どうしても駅に到着するのが発車時間の間際になってしまう。

結局は、時間に追われてしまっているという悲しい性なのかもしれない。実家に帰るときぐらいは、余裕をもっていくのが、本来望ましい姿であると言われれば、返す言葉も無い。

いずれにしても、これらの手段は、始発駅だから考えられる方策であり、途中乗車する場合には採りえない方策である。

なお、自由席に座れる確率を高めるためには、いくつかの方策があるようだ。

(1)「ひかり」号の自由席は1号車から5号車であるが、新幹線は車両によって座席数が異なっている。1号車は運転席があり、奇数号車はトイレや喫煙所があるため、座席数が少なくなっている。従って、駅のホームで同じ人数が並んでいるならば、2号車か4号車に並ぶと座れる確率が高くなることになる。

(2)自由席で座れなかった場合に、途中の停車駅で席を確保するためには、車両の中央に立つことが望ましい。これによって、確率的には四方の席が空く可能性を享受できることになる。中央に立っていることは何となく気恥ずかしい気がするので、日本人は連結部のデッキに立つ人が多い。

是非参考にしていただきたいが、多くの人がこうした事実を認識すると、その有効性も失われてしまうことになるかもしれない。
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保険研究部   取締役

中村 亮一 (なかむら りょういち)

研究・専門分野
保険会計・計理

(2017年04月17日「研究員の眼」)

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