2017年04月10日

【3月米雇用統計】雇用者数は9.8万人増と、前月から大幅に伸びが鈍化も、失業率は4.5%と07年5月以来の水準に低下。

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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4.家計調査の詳細:失業率は低下も、労働参加率の改善はストップ

家計調査のうち、3月の労働力人口は前月対比で+14.5万人(前月:+34.0万人)と、前月から伸びが大幅に鈍化した。内訳を見ると、就業者数は+47.2万人(前月:+44.7万人)と前月から更に伸びが加速した一方、失業者数が▲32.6万人(前月:▲10.7万人)と前月からマイナス幅が拡大したことが大きい。一方、非労働力人口は+2.3万人(前月:▲17.6万人)と、3ヵ月ぶりに増加に転じた。この結果、労働参加率は63.0%(前月:63.0%)と4ヵ月ぶりに改善がストップした(図表5)。

失業率は、前述のようにFRBの17年末、長期見通しを下回って改善しているものの、労働参加率の改善を伴っていないため、失業率の改善についてはその分は割り引いて考える必要があるだろう(図表6)。
(図表5)労働参加率の変化(要因分解)/(図表6)失業率の変化(要因分解)
次に、3月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は、168.7万人(前月:180.1万人)となり、前月対比では▲11.4万人(前月:▲4.9万人)と前月から減少した。この結果、長期失業者の失業者全体に占めるシェアは23.3%(前月:23.8%)とこちらも前月から低下した。一方、平均失業期間は25.3週(前月:25.1週)とこちらは前月から小幅ながら長期化した(図表7)。
 
最後に、周辺労働力人口(159.5万人)3や、経済的理由によるパートタイマー(555.3万人)も考慮した広義の失業率(U-6)4をみると、3月は8.9%(前月:9.2%)と前月から▲0.3%ポイント低下した(図表8)。この結果、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は4.4%ポイント(前月:4.5%ポイント)と、前月から▲0.1%ポイント縮小した。
(図表7)失業期間の分布と平均失業期間/(図表8)広義失業率の推移
 
3 周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
4 U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2017年04月10日「経済・金融フラッシュ」)

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