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- 2017・2018年度経済見通し~16年10-12月期GDP2次速報後改定
2017年03月08日
(厳しさを増す家計部門)
ここにきて企業部門の改善傾向が明確となる一方、家計部門は厳しさを増している。2016年末にかけて家計の実質購買力を大きく下押しした生鮮野菜の価格高騰は一段落したが、ガソリン、灯油価格の大幅上昇を主因として消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は2017年1月に13ヵ月ぶりのプラスとなり、今後伸びが加速することが確実となっている。
ここにきて企業部門の改善傾向が明確となる一方、家計部門は厳しさを増している。2016年末にかけて家計の実質購買力を大きく下押しした生鮮野菜の価格高騰は一段落したが、ガソリン、灯油価格の大幅上昇を主因として消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は2017年1月に13ヵ月ぶりのプラスとなり、今後伸びが加速することが確実となっている。
こうした中、名目賃金の伸び悩みが続けば、実質賃金の伸びが大きく低下してしまうが、2017年度の春闘賃上げ率は2年連続で前年度を下回る公算が大きくなっている。労務行政研究所「賃上げに関するアンケート調査」によれば、2017年度の賃上げ見通し(対象は労・使の当事者および労働経済分野の専門家約500人)は平均で2.00%となり前年度を0.12ポイント下回った。厚生労働省が集計している主要企業の賃上げ実績(「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況について」)は同調査の見通しを若干上回る傾向があるが、前年度からの変化の方向は概ね一致しているため、2017年度の春闘賃上げ率は前年度を下回ることが見込まれる。
今回の見通しでは、2017、2018年度の春闘賃上げ率をそれぞれ2.05%、2.30%と想定した(2016年度実績は2.14%)。
今回の見通しでは、2017、2018年度の春闘賃上げ率をそれぞれ2.05%、2.30%と想定した(2016年度実績は2.14%)。
2017年度は物価が上昇に転じる中で、春闘賃上げ率の低下を反映し名目賃金が伸び悩むため実質賃金の伸びは大きく低下することが予想される。企業の人手不足感が引き続き強いことから雇用者数は増加を続けるものの、2017年度の実質雇用者報酬は2016年度の前年比2.4%から同1.1%へと伸びが大きく低下するだろう。2018年度は物価上昇率がさらに高まるが、円安や海外経済の回復を追い風とした企業業績の改善、2017年度の物価上昇を受けて名目賃金は所定内給与、特別給与(ボーナス)ともに増加幅が拡大し、実質雇用者報酬は前年比1.5%へと伸びが高まると予想する。
民間消費は実質雇用者報酬に連動する形で2017年度中は前期比で横ばい圏の動きを続けた後、2018年度に入ってから徐々に伸びを高めるだろう。
民間消費は実質雇用者報酬に連動する形で2017年度中は前期比で横ばい圏の動きを続けた後、2018年度に入ってから徐々に伸びを高めるだろう。
(物価の見通し)
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)上昇率は、原油価格の上昇に伴うガソリン、灯油の大幅上昇などから2017年1月に前年比0.1%と13ヵ月ぶりのプラスとなった。電気代、ガス代は前年比で下落が続いているが、原油価格の上昇が遅れて反映されることにより今後値上げのペースが加速することが見込まれる。エネルギー価格は2017年2月にプラスに転じた後、2017年度入り後にはコアCPI上昇率の押し上げ寄与が0.3%程度まで拡大するだろう。また、既往の円高による物価下押し圧力は残っているものの、足もとのドル円レートはすでに前年とほぼ同水準となっており、夏頃からは円安が物価の押し上げ要因となる公算が大きい。
一方、当研究所では足もとの潜在成長率を0%台後半と推計しているが、2017年度中は年率1%前後の成長が続くため、需給バランスの改善はいったん足踏みとなる可能性が高い。需給バランスが改善に向かうのは成長率が年率1%台半ばまで高まる2018年度に入ってからとなろう。今回の見通しにおける実質GDP成長率の予測をもとにすれば、需給ギャップがプラスに転じるのは予測期間末の2019年1-3月期となるとなる。
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)上昇率は、原油価格の上昇に伴うガソリン、灯油の大幅上昇などから2017年1月に前年比0.1%と13ヵ月ぶりのプラスとなった。電気代、ガス代は前年比で下落が続いているが、原油価格の上昇が遅れて反映されることにより今後値上げのペースが加速することが見込まれる。エネルギー価格は2017年2月にプラスに転じた後、2017年度入り後にはコアCPI上昇率の押し上げ寄与が0.3%程度まで拡大するだろう。また、既往の円高による物価下押し圧力は残っているものの、足もとのドル円レートはすでに前年とほぼ同水準となっており、夏頃からは円安が物価の押し上げ要因となる公算が大きい。
一方、当研究所では足もとの潜在成長率を0%台後半と推計しているが、2017年度中は年率1%前後の成長が続くため、需給バランスの改善はいったん足踏みとなる可能性が高い。需給バランスが改善に向かうのは成長率が年率1%台半ばまで高まる2018年度に入ってからとなろう。今回の見通しにおける実質GDP成長率の予測をもとにすれば、需給ギャップがプラスに転じるのは予測期間末の2019年1-3月期となるとなる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2017年03月08日「Weekly エコノミスト・レター」)
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