2017年03月08日

高齢者は何歳からか?-准高齢者に求められる65歳からの“意識改革・生き方改革”

基礎研REPORT(冊子版) 2017年3月号

生活研究部 主任研究員   前田 展弘

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2017年1月、日本老年学会・日本老年医学会は「高齢者の定義と区分」について画期的な提言を発表した。以下のように、65~74歳を「准高齢者」、75~89歳を「高齢者」、90歳以上を「超高齢者」として区分することを社会に提言したのである。

新たな「高齢者の定義と区分」
65~74歳  准高齢者
75~89歳  高齢者
90歳~00  超高齢者

1――時代にあった的確な提言

もともと65歳以上の人を「高齢者」として取り扱う通例は、確かな定義の由来は定かでないものの、1959年の国連(United Nations)の報告書において、65歳以上の人々を高齢者として取り扱ったことがその由来と言われている。なお、当時(1960年)の世界の主要各国の高齢化率を調べてみると、日本を含む18カ国の数値だけではあるがその平均は9.8%である(日本は5.7%)。約10人に1人が65歳以上だった時代に区分された取扱いがその後半世紀以上にわたって世界共通の認識として使用され続けてきたということである。

しかし、世界はあらゆる国で高齢化が進み、その先頭を歩む日本はすでに4人に1人が65歳以上の社会となっている。また当学会が提言の中で述べているように、日本の高齢者は身体機能の“若返り”が確認される。そのことを背景に、個人差はあるにせよ、特に65歳以上の人の中でも比較的若く活動的な人に対して、高齢者扱いすること、またされることに違和感を抱いていた人は少なくないと想像する。また人生100年時代とも言える長寿時代において、65歳以上の人を一括りに高齢者として扱うことへの違和感もかねてから世の中に潜在していたと思われるだけに、今回の提言はそれらの違和感を払拭する現状を踏まえた的確な提言であったと考える。

2――注目される准高齢者(65-74歳)

また今回の提言は、高齢者の存在及び年齢が持つ社会的な意味を今日的に考えさせる根本的かつ重要な問いを私たちに投げかけたものであるとも言える。その問いに私たちが如何に応えていくか、この提言を如何に未来に向けてより良い方向に活かしていけるかがこれから重要なことであろう。高齢者の区分が見直されたからと言って、何もしなければ社会や日々の暮らしは何も変わらない。

考えるべき、対応すべき範囲は極めて広範囲に及ぶと考えるが、注目すべきは「65~74歳」の新しく区分された准高齢期、この10年(歳)であろう。「准」はついているものの、“74歳までは(今までの)高齢者ではない”というメッセージがここにある。個人差があり年齢で分けて物事を述べることは本来控えるべきだが、少なくとも准高齢者に該当する人に対する見方を、社会も本人もよりポジティブに捉え直すことがまず必要なことと考える。65歳を過ぎた時点で、個人も社会もしばしば“年だから”と言って、本人があきらめたり、社会が拒んだりすることがあったかもしれないが、これからはお互いにそのことは理由にできない、そうした考え方や価値観を世の中に醸成していくことが望まれる。

次に必要なことは、この65~74歳の10年間の生き方、暮らし方をどのように創造していくか、ということである。リタイアした後の標準的な生活モデルは世の中に存在していないといっても過言でなく、どのように暮らしていくかはすべて本人(及び家族)任せであり、こうあるべきという社会のメッセージも見当たらない。この提言を機に、准高齢者(期)の理想の生活モデルを社会が描き示していくことができれば、准高齢者(期)のあり方がより明確になり、個人の人生設計にも新たな示唆を与えることができると考える。どのような暮らし方や存在になるのがよいかは、様々な視点やアイディアがあると思うが、例えば、准高齢期は「誰もが就業を含めた地域活動に必ず参加する(できる)こと」を基本の生活モデルとして提唱し、社会の支え手として何らかの「役割」と「機会」を持ち続ける(続けられる)ような社会の仕組みを創造していくことも一案にならないだろうか。抽象的な表現に止まるが、いずれにしてもこの65~74歳の10年間を如何に生きていくか、長寿時代を生きる私たち及び社会に課せられた新たな課題と言えよう。
 

 
  * 関ふ佐子(横浜国立大学教授)「高齢者と年齢」(週刊社会保障No.2483,p42-47,2008年6月2日)
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生活研究部   主任研究員

前田 展弘 (まえだ のぶひろ)

研究・専門分野
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)、超高齢社会・市場、QOL(Quality of Life)、ライフデザイン

(2017年03月08日「基礎研REPORT(冊子版)」)

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