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ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(1)-2015年度結果-
中村 亮一
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1―はじめに
今回と次回のレポートでは、前回のレポートのうちの数値に関わる部分を中心に、2015年度ベースに更新する1 2。まずは、今回のレポートでは、民間医療保険の普及状況について報告する。
1 ドイツの医療保険制度全体の概要及びその中での民間医療保険の位置付けや各種の制度の具体的な内容等については、基礎研レポート「ドイツの医療保険制度(1)~(3)」を参照していただきたい。
2 以下の数値については、基本的には、ドイツ保険協会(GDV)の「Statistical Yearbook of German Insurance 2016」及び民間医療保険連盟(PKV)の「Financial report for private healthcare insurance 2015」からの数値に基づいているが、両者の数値は必ずしもベースが同じにはなっていない。PKVをデータ・ソースとするGDVの資料についても、GDVの資料に基づくとしている。また、GDVの資料で必ずしも数値の整合性が取れていないと思われるものについても、原資料の数値を尊重した。なお、2015年度の公表資料においては、2014年度以前の数値の修正等も行われている。
2―民間医療保険の普及状況-被保険者-
1|代替医療保険
民間医療保険連盟(PKV)の資料に基づくと、次ページの図表が示すように、2015年度末において、公的医療保険を代替する代替医療保険1のうち、完全医療保険1の被保険者数が878万人、介護保険の被保険者数が941万人となっている。ともに、2014年度に比較して若干減少している。
この主たる理由としては、所得の減少や家族の一員となること等の理由で、公的医療保険に移動している人数が、民間医療保険に移動してくる人数を上回っていることが挙げられる。公的医療保険と民間医療保険の間の移動状況については、2011年までは、民間医療保険への流入超過であったが、公的医療保険の加入要件等の制度変更の影響もあり、2012年からは公的医療保険への流出が上回っている。
長期介護保険の被保険者数は、完全介護保険に比べて約63万人多い。これは、ドイツポスト(Deutsche Post AG)やドイツ鉄道(Deutsche Bahn AG)の職員が含まれてくることによる影響が大きい。
3 公務員やその配偶者、子供等は、医療給付等に対して、連邦政府や地域や地方当局からの財政的な支援が行われる。
4 1人の被保険者が複数の契約に加入している場合、複数カウントされる。
5 国民皆保険を実現するための第1段階の措置として、2007年7月からは、「標準タリフ(Standardtarif)」の提供が義務付けられていたが、第2段階の措置として「基本タリフ(Basistarif)」が導入されることになった。
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