2017年01月20日

【12月米住宅着工、許可件数】許可件数は、増加予想に反してほぼ横這いも、着工件数は予想を上回る増加。

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

文字サイズ

1.結果の概要:住宅着工件数は予想を上回る増加

1月19日、米国センサス局は12月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は122.6万件(前月改定値:110.2万件)と、109.0万件から上方修正された前月改定値から増加、市場予想の118.8万件(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も上回った(図表1、図表3)。

住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は、121.0万件(前月改定値:121.2万件)と、こちらは120.1万件から上方修正された前月改定値からは小幅に減少、市場予想の122.5万件も下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:10-12月期のGDP統計で、住宅投資は3期ぶりのプラスに転じる見通し

12月住宅着工件数の伸びは、前月比+11.3%(前月:▲16.5%)と2桁の落ち込みとなった前月から改善、前年同月比でも+5.7%(前月:▲5.9%)とプラスに転じた(図表3)。

また、住宅着工件数(前月比)を戸建てと集合住宅に分けてみると、戸建てが▲4.0%(前月:▲4.6%)と2ヵ月連続でマイナスとなる一方、集合住宅が+57.3%(前月:▲39.4%)と大幅なプラスに転じた。

一方、住宅着工件数(前月比)の地域別寄与度は、南部こそ▲0.7%ポイント(前月:▲3.0%ポイント)と2ヵ月連続でマイナスとなったものの、それ以外では、北東部+1.4%ポイント(前月:▲6.1%ポイント)、中西部+4.9%ポイント(前月:▲1.8%ポイント)、西部+5.7%ポイント(前月:▲5.7%ポイント)と全てプラス寄与となった(図表4)。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
住宅着工の先行指標である住宅着工許可件数は、12月の前月比が▲0.2%(前月:▲3.8%)と2ヵ月連続でマイナスとなった一方、前年同月比では+0.7%(前月:▲5.8%)とプラスを維持した(図表5)。

住宅着工許可件数(前月比)を戸建て、集合住宅でみると、戸建ては+4.7%(前月:+0.8%)と5ヵ月連続のプラスとなったものの、集合住宅は▲9.0%(前月:▲11.1%)と2ヵ月連続のマイナスとなった(図表6)。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 10-12月期の住宅着工件数(3ヵ月移動平均、3ヵ月前比)は、+27.4%(7-9月期:▲5.0%)となった(図表7)。この結果、GDPにおける住宅投資は、4-6月期から2期連続のマイナスとなっていたが、漸く3期ぶりにプラスに転じる可能性が濃厚となった。

もっとも、昨年11月の大統領選以降長期金利は大幅に上昇しており、今後も早いペースで長期金利の上昇が持続する場合には、住宅市場の回復に水を指される可能性があり注目される。
Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2017年01月20日「経済・金融フラッシュ」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【【12月米住宅着工、許可件数】許可件数は、増加予想に反してほぼ横這いも、着工件数は予想を上回る増加。】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

【12月米住宅着工、許可件数】許可件数は、増加予想に反してほぼ横這いも、着工件数は予想を上回る増加。のレポート Topへ