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ますます巨大化する米国の大手医療保険会社~国民に医療保障を届ける唯一無二の存在へ-オバマケアの帰趨に左右されない強さ-
松岡 博司
米国には、わが国のような全ての国民が加入する公的な医療保険がない。
無保険者問題の解決を目的の1つとして2010年に発足し、2014年に本格実施された医療制度改革(オバマケア)では、公的な医療保険の対象にならない一般の米国民に民間医療保険への加入が義務づけられ、従業員数50名以上の雇用主(企業)に従業員とその家族への医療保険の提供が義務づけられた。
また民間保険会社は保険申込みに対して既往症や健康状態を理由とする加入拒否や差別的な条件設定を行うことが禁じられた。
米国の医療保険改革においては民間医療保険会社が大きな役割を果たしている。
米国では民間医療保険会社は、一般国民への医療保障の提供を一手に引き受ける、医療保障にとって欠くことのできない存在である。
本レポートでは、オバマケアの廃止を訴えて大統領選に勝利したトランプ氏がまもなく大統領に就任することによりオバマケアに一区切りがつけられようというタイミングにおいて、大手医療保険会社を中心視座におき、米国における医療保険制度の概要とオバマケアのこれまでを見ていくこととしたい。
■目次
はじめに
1――米国の医療保障制度の概要
1|突出して高い米国の医療費
2|民間が大きな役割を果たす米国の医療保障制度
2――オバマケアの制度概要
1|オバマケアの根拠法発足
2|オバマケアの制度概要 主に民間医療保険会社との関係を中心に
3――米国の医療保険会社の概要
1|巨大な存在
2|M&Aにより巨大化・寡占化を果たしつつある米国の大手医療保険会社
4――オバマケアの実施状況と医療保険会社の動向
1|無保険者数は減少
2|エクスチェンジの開設状況
3|エクスチェンジに参加する保険会社は少数で寡占状況
4|エクスチェンジ事業で損失が発生
5|エクスチェンジ事業からの撤退
6|エクスチェンジ事業での保険料の値上げ
7|合従連衡の動きと連邦当局との対立
さいごに
松岡 博司
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