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EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(3)-EIOPAの報告書の概要報告-
中村 亮一
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1―はじめに
今回のレポートは、これまでの2回のレポートを踏まえて、主要国を中心とした全体及び措置毎の適用状況やその財政状態への影響をまとめるとともに、併せて、会社別の状況について報告する3。
1 EIOPAのプレス・リリース資料 https://eiopa.europa.eu/Publications/Press%20Releases/2016-12-16%20LTG%20Report_final.pdf
2 EIOPAのプレス・リリース資料 https://eiopa.europa.eu/Publications/Press%20Releases/2016-12-15%20Insurance%20Stress%20Test%20ResultsFinalFinal.pdf
3 以下の図表及び図表の数値は、特に断りが無い限り、EIOPAの「長期保証措置と株式リスクに対する措置に関する報告書2016」及び「2016 EIOPA保険ストレステスト報告書」からの抜粋及び必要に応じて筆者が付け加えた分析数値である。
2―措置全体の国別のSCR比率等への影響
国別のSCR(Solvency Capital Requirement:ソルベンシー資本要件)比率への影響については、1回目のレポート「EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(1)-EIOPAの報告書の概要報告-」の6-4 を再掲する。
MA(マッチング調整)、VA(ボラティリティ調整)、TRFR(リスクフリー金利に関する移行措置)、TTP(技術的準備金に関する移行措置)のうちの少なくとも1つの措置を使用している会社ベースで、措置の非適用によるSCR比率への影響は、以下の図表の通りとなる。
EEA(欧州経済地域)全体では、SCR比率は、適用前の193%から121%に72%ポイント低下する(因みに、ストレステストのサンプルベースでは、196%から136%に60%ポイント低下する)。
これを国別に見てみると、低下する「%ポイント」が最も大きいのはドイツで、286%から134%に153%ポイント低下する。次が英国とデンマークで、英国は142%から52%に91%ポイント低下し、デンマークは283%から192%に91%ポイント低下する。
一方で、フランスは196%から152%に43%ポイント低下、イタリアは243%から224%へとわずか19%ポイントの低下に留まっている。
影響度を割合で見てみると、英国が142%から52%へと、適用時の37%の水準に低下して、最も大きな影響を受けている。続いて、ギリシャで141%から71%に50%の水準に低下する。
なお、英国とギリシャとポルトガルのSCR比率は、各種措置の非適用ベースでは、100%を下回っている。特に、英国の各種措置の非適用ベースのSCR比率は51%と加盟国中の最低水準となる。
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