2016年12月27日

小型コミュニケーションロボットの活用に向けて-目指す活用シーンはビジネスからパーソナル、ホームと多彩-

青山 正治

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(3)「Bocco(ボッコ)」(ユカイ工学株式会社)
図表-3 「Bocco」の外観 図表-3は、見守りなどで活用できる家庭向けの音声コミュニケーションロボット「Bocco(ボッコ)」である。2014年に公表され2015年にはグッドデザイン賞を受賞しており、レトロなデザインが印象的である。サイズは高さ195mm、幅90mm、奥行き55mmと小型で、顔の部分が動く。家庭のインターネット(Wi-Fi)を介して外からスマホの専用アプリで音声メールやテキストメッセージを「ボッコ」に送信でき、「ボッコ」側でメッセージの読み上げも出来る。また、SIMを搭載して、Wi-Fiがない環境でも使えるモデルも発売予定である。ボディに向かって左側のボタンでメールの音声再生を、右側のボタンで録音ができ、登録先のスマホにメール送信もできる。

また、積み木型(幅67mm、奥行き33mm、高さ30mm)の「鍵センサ」や「振動センサ」(8台まで追加可能)をドアに貼り付けておくと、施錠の状態や子どもの学校からの帰宅を外に居る母親のスマホに通知もできる。このほかにも、複数の企業と協業して様々なサービスを開発中であり、「ボッコ」と様々なIoTデバイスやWebサービスを連携させる計画である。例えば、音声認識の機能を搭載予定であり、「ねぇ、Bocco、居間の電気消して」といった遠隔操作を可能とするスマートハウスのプラットホームとしての機能発揮をも目指している。
 
(4)「CommU(コミュー)」の活用シーン(株式会社JTBプランニングネットワーク)
図表-4 「CommU」の外観と活用シーン 図表-4は、JTBのブースで展示された「JTBスマート店舗」という新しいコンセプトの店舗における1デモシーンである。

このテーブル上の左側にあるディスプレイは、定位置に立つと画像が浮き上がって見える「空中ディスプレイ」であり、様々な旅行案内の動画を見ることができる。右側のロボットは「コミュー(ヴィストン株式会社)」という研究者向けロボットプラットフォームで身長は304mmあり、体をユニークにくねらせて動き、大きな目をゆったりと瞬きさせる。左側の案内画像を見る顧客に色々な合いの手を入れ語りかけるという。店舗で順番待ちをする顧客への旅行情報の提供を、最新の画像技術とロボットで行うというユニークな取り組みを目指している。なお、このディスプレイの後方には「ロボホン(シャープ)」が3台ほど並べて置かれ、この小形モバイル型ロボット電話を旅行先へ携行して観光案内役として活用する取組も紹介されていた。ブースでのこれらの取組は「JTBスマート店舗」の一部で、このほかにもAR(拡張現実)やテレビ電話の活用、様々なデータ分析による顧客の要望に合った商品の推奨など、新しい店舗の具体的な姿が提示されていた。


(5)「OHaNAS(オハナス)」の活用シーン(株式会社タカラトミー)
図表-5 「OHaNAS」の外観と活用シーン 図表-5の“ひつじ”をイメージした小型ロボットは、クラウド型おはなしロボット「オハナス」という家庭向けの玩具である。玩具と言ってもNTTドコモとの共同開発であり、「オハナス」はスマホやタブレット端末を介してクラウド上のドコモの「自然対話プラットフォーム」と繋がっている。これにより家庭で「オハナス」と雑談のような対話を楽しんだり、質問をすればWeb上の天気予報や質問の答えを検索して可愛い合成音声で知らせてくれる。

「CEATEC」や「Japan Robot Week」では、ビジネス向けに、「オハナス」を活用したNTTドコモの「おしゃべりロボット for Biz」というクラウドサービスのシーンが再現されていた。この具体的な事例では、スパイス(エスビー食品)の陳列棚に置かれた「オハナス」が顧客とコミュニケーションをとり、お奨め商品や様々なレシピを紹介する内容である。また「オハナス」の右側には対話内容を確認できるタブレット端末(右端)も一緒に組み込まれている。

この「オハナス」を活用したビジネス展開はクラウドの活用により、様々な業界向けのシナリオ作成が可能であり、売り場におけるユニークなロボットとの対話を軸に様々な事業展開が登場しよう。
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青山 正治

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