2016年12月05日

【11月米雇用統計】労働参加率、賃金は下振れも、雇用の伸びは堅調で、12月の利上げを後押しする内容。

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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4.家計調査の詳細:非労働力人口が2ヵ月連続で40万人超増加

家計調査のうち、11月の労働力人口は前月対比で▲22.6万人(前月:▲19.5万人)と2ヵ月連続で減少した。内訳を見ると、就業者数は+16.0万人(前月:▲4.3万人)と前月からプラスに転じたものの、失業者数が▲38.7万人(前月: ▲15.2万人)と就業者の伸びを上回って減少した。一方、非労働力人口は+44.6万人(前月:+42.5万人)とこちらは、2ヵ月連続で40万人超の大幅な増加となった。この結果、労働参加率は62.7%(前月:62.8%)と2ヵ月連続で悪化した(図表5)。

失業率は4.6%に低下したものの、労働参加率の低下や非労働力人口の大幅な増加にみられるように、労働市場から退出した人が増加した結果を反映しており、本質的な意味で労働需給の改善を意味している訳ではない(図表6)。また、11月は賃金も改善が一服したことから、当月は労働需給の改善が一服したと考えられる。
(図表5)労働参加率の変化(要因分解)/(図表6)失業率の変化(要因分解)
次に、11月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は、185.6万人(前月:197.9万人)となり、前月対比では▲12.3万人(前月:+0.5万人)と減少に転じた。この結果、長期失業者の失業者全体に占めるシェアは24.8%(前月:25.2%)と前月から低下した。さらに、平均失業期間も26.3週(前月:27.5週)とこちらも前月から改善した(図表7)。

最後に、周辺労働力人口(170.0万人)3や、経済的理由によるパートタイマー(588.9万人)も考慮した広義の失業率(U-6)4をみると、11月は9.3%(前月:9.5%)と、前月から▲0.2%ポイント低下した(図表8)。この結果、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は4.7%ポイント(前月:4.6%ポイント)と、前月から+0.1%ポイント拡大した。
(図表7)失業期間の分布と平均失業期間/(図表8)広義失業率の推移
 
3 周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
4 U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2016年12月05日「経済・金融フラッシュ」)

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