2016年12月05日

市場の不安定性の長期化に備える掛金事前拠出

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9月の金融政策決定会合で、10年国債利回りを当面0%に維持し、物価が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大を続ける方針が示された。政策手段の軸足を量から金利に変更する長期戦を意識した政策転換である。

もはや、国内債券のベンチマーク運用では収益確保を期待できず、年金運用のパフォーマンスが、相対的にリスクの高い株式や為替相場の動向に大きく左右されやすい状況の長期化が懸念される。

幸い多くのDBでは、2012年度以降の株高・円安局面で蓄えた積立剰余を未だ確保しており、積立不足の顕在化までには余裕があるものと推測される。しかしながら、不安定な市場環境が長引けば、積立不足に陥る危険性は自ずと高まることになる。

こうした中、積立不足を未然に防ぎ、年金財政の健全性を維持する上では、掛金の事前拠出が有効だ。DB制度の改正により認められる「将来の積立不足に備える掛金の事前拠出」の活用である。もちろん、運用効率の改善も欠かせないが、厳しい市場環境の長期化に備えるには、掛金事前拠出を念頭に置く必要もあろう。
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(2016年12月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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