2016年10月21日

米金融政策見通し-信任維持?のため、年内12月利上げへ。来年は2回の追加利上げを予想

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
  1. FRBは14年10月に量的緩和政策(QE3)を終了し、15年12月に政策金利を引き上げ、金融危機後に実施した異例の金融緩和政策からの正常化プロセスを進行中である。主要な中央銀行が緩和政策を強化する中で、FRBの金融引締めスタンスが際立っている。
     
  2. もっとも、年初からの株価・原油価格の下落や、5月の雇用統計悪化、英国のEU離脱決定などもあり、FRBは9月のFOMC会合まで追加利上げを見送っている。
     
  3. 政策金利は、昨年利上げ後のFOMC参加者の予想を大幅に下回っているほか、過去の金融引締め局面に比べて最も緩やかな利上げペースとなっている。
     
  4. 米経済は、労働市場の回復は持続しているものの、物価上昇圧力は抑制された状況が続いており、物価目標達成の見地からは、政策金利引き上げの理由は希薄である。
     
  5. しかしながら、9月会合後の記者会見でイエレン議長は、年内利上げを強く示唆したことから、12月利上げの可能性が高まった。金融市場も既に利上げを織込んでおり、利上げに向けた環境は整ったとみられる。
     
  6. 一方、自然利子率が低位に留まる中、金融政策の決定権を持つ委員構成もよりハト派的な構成となることから、来年は年2回程度の利上げに留まる見込みである。
自然利子率および実質FF金利
■目次

1.はじめに
2.金融政策正常化の状況
  (1)金融危機を受けた異例の金融政策:量的緩和政策に伴い
     FRBのバランスシートは大幅拡大
  (2)金融政策正常化開始後の状況:FRBの想定を下回る正常化のペース
3.金融政策の見通し
  (1)政策目標達成状況:物価上昇圧力は限定的で物価目標達成時期は不明
  (2)今後の金融政策見通し:信任維持(?)のため、12月利上げを実施
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

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