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社会保険料の帰着に関する先行研究や非正規雇用労働者の増加に関する考察
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
3――社会保険料の雇用への帰着に関する考察(労働の需要曲線と供給曲線を用いて)
Gruber and Krueger(1991)や大竹(1998)は、社会保険の企業負担分を企業が負担しているのか、労働者の賃金の中に含まれているのか、つまり労働者に社会保険料の事業主負担分が転嫁・帰着されているかを分析するために労働需要曲線と労働供給曲線を用いている。一般的に労働市場では賃金が上がれば働きたいという希望を持つ労働者が増え労働の供給量が増加する。一方、企業側は賃金が増加すると雇用を減らすので労働の需要量は減少する。その結果、賃金と雇用量は労働の需要曲線と労働の供給曲線の交点で決まる。
図表1のとはそれぞれ企業負担の社会保険料が発生する前の労働需要曲線と労働供給曲線であり、市場での均衡賃金はで、雇用量はで決まる。ここに企業が負担する社会保険料が雇用者の賃金に対してt%追加されると、企業は既存の雇用量を維持するために、労働者に支払う賃金を下げることを考えるので、賃金はに調整され、企業の労働需要曲線はにシフトされる。この際、労働の供給曲線は変化しないので、市場の均衡点は既存のからに変わり、賃金はに、雇用量はになる。は、企業が支払う社会保険料が含まれた労働費用である。企業が結果的に、企業負担の社会保険料は、(1)労働者の賃金の低下(からへ)や(2)雇用量の低下(からへ)という形で労働者に転嫁されることになる。
図表2のやは、それぞれ正規労働者の労働供給曲線や労働需要曲線を示しており、 は正規労働者の賃金()と雇用量()の均衡点である。一方、やは、それぞれ非正規雇用労働者の労働供給曲線や労働需要曲線を示しており、は非正規雇用労働者の市場の均衡点であり、非正規雇用労働者の賃金()は正規労働者に比べて低い水準で決まる。
03-3512-1825
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