2016年10月11日

【9月米雇用統計】強弱混じる結果。雇用者数は若干弱かったものの、労働参加率は改善、賃金も伸びが加速した。

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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4.家計調査の詳細:就業者数の大幅増加を反映して労働参加率は改善

家計調査のうち、9月の労働力人口は前月対比で+44.4万人(前月:+17.6万人)と前月から大幅に伸びが加速した。内訳を見ると、失業者数が+9.0万人(前月: +7.9万人)となったほか、就業者数が+35.4万人(前月:+9.7万人)と前月から大幅な増加となった。一方、非労働力人口は▲20.7万人(前月:+5.8万人)と前月から大幅な減少に転じた。この結果、労働参加率は62.9%(前月:62.8%)と前月から上昇し、16年3月(63.0%)に次ぐ水準となった(図表5)。

失業率は、5.0%に上昇したものの、小数第2位までとると9月は4.96%(前月:4.92%)となり、前月から0.04%の小幅な悪化であったことが分かる(図表6)。前述のように、今後労働需給改善が持続する中でも、失業率の改善が滞る可能性があるが、FOMC参加者の16年の失業率予測や中期目標の水準である4.8%に近いことから、金融政策の意思決定への影響は限定的とみられる。
(図表5)労働参加率の変化(要因分解)/(図表6)失業率の変化(要因分解)
次に、9月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は、197.4万人(前月:200.6万人)となり、前月対比では▲3.2万人(前月:▲1.4万人)と2ヵ月連続で減少した。この結果、長期失業者の失業者全体に占めるシェアは24.9%(前月:26.1%)となったほか、平均失業期間も27.5週(前月:27.6週)と前月から改善した(図表7)。
 
最後に、周辺労働力人口(184.4万人)3や、経済的理由によるパートタイマー(589.4万人)も考慮した広義の失業率(U-6)4をみると、9月は9.7%(前月:9.7%)と、前月に一致した(図表8)。この結果、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は4.7%ポイント(前月:4.8%ポイント)と、前月から0.1%ポイント縮小した。
(図表7)失業期間の分布と平均失業期間/(図表8)広義失業率の推移
 
3 周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
4 U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2016年10月11日「経済・金融フラッシュ」)

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