2016年10月05日

米国における個人生命保険の販売動向(2015)-グラフで見る40年間の動き-

松岡 博司

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2――個人生命保険の販売契約1件あたりの大きさ

以上、見てきたように、米国生保業界における個人生命保険販売は、金融危機までは、新契約販売件数の減少が続く一方、新契約年換算保険料と新契約高は増勢を保つというトレンドが続いていた。

しかし金融危機を境に、新契約販売件数の減少傾向に一定の歯止めがかかり、新契約年換算保険料は金融危機直前の水準まで盛り返す一方で、新契約保険金額は伸び悩むという状況に変化した。

年換算保険料の回復は、販売契約1件あたりの平均年換算保険料が金融危機直前の状況に近い水準にまで回復してきたことの結果である。
グラフ4 新契約1件あたりの平均年換算保険料の推移 
新契約高の伸び悩みの背景には、販売新契約の1件あたりの平均保険金額が、かつての増勢を取り戻せないことがある。

金融危機までは、販売件数の落ち込みが販売契約1件あたりの保険金額の大型化によりカバーされて、全体としての新契約高の増勢が維持されていた。しかし金融危機後は販売契約の平均保険金額の大型化ができていない。そのため新契約高には販売件数の動きがまともに反映されるようになった。
グラフ5 新契約1件あたりの平均保険金額の推移

3――個人生命保険新契約の商品別内訳の変化

3――個人生命保険新契約の商品別内訳の変化

それでは販売された生命保険の商品種類はどうだったのか。グラフ6は、新契約年換算保険料、新契約保険金額、新契約件数という3つの基準指標で見て、どれだけの実績数値が、どの商品種類の販売によってもたらされたものであるかについて構成比を見たものを、それぞれ金融危機前の2007年と2015年で比較したものである。

なお、定期保険は一定の契約期間内の死亡に対して保険金を払うことのみを契約する保険、終身保険は期限の定めなく死亡があった場合に保険金を払うことを契約する保険(必ず保険金が支払われるので保険金支払いに備えた積立額が大きくなり、その分解約時の返還金等も大きくなる)、ユニバーサル保険は定期預金に定期保険をセットしたイメージの保険で、定期預金的部分でお金を貯蓄しながら、そこから定期保険部分の保険料を払い出していく商品、変額ユニバーサル保険はユニバーサル保険の定期預金的部分が投資信託的なものに置き換わったイメージの保険、である。
グラフ6 商品種類別販売構成比の変化(2007年→2015年)
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