2016年10月05日

米国における個人生命保険の販売動向(2015)-グラフで見る40年間の動き-

松岡 博司

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本レポートでは、米国における個人向け生命保険商品(主に死亡保障、貯蓄等を主目的とする保険商品で、個人と生保会社が契約するタイプのもの。医療保険、介護保険等は含まない)の販売業績を取り上げる。このテーマについては、当保険・年金フォーカスにおいても、2013年6月に2012年時点までの販売動向をレポートしている1が、今回は2015年まで期間を伸ばして定点観測的に見ていくこととする。

なお本稿では、米国の生命保険・年金のマーケティングに関する代表的な調査・教育機関であるLIMRAの報告書”U.S. Individual Life Insurance Sales Trends, 1975 -2015”を主な情報源として活用する。
 
1 松岡「米国生保市場定点観測(3)個人生命保険の販売動向(2012) -いずれの指標でも業績が向上低金利の影響を受ける2013年に勢いをつなげるか-」http://www.nli-research.co.jp/files/topics/40799_ext_18_0.pdf?site=nli
 

1――個人生命保険の長期販売動向

1――個人生命保険の長期販売動向

グラフ1からグラフ3は、年換算保険料(グラフ1)、新契約件数(グラフ2)、新契約保険金額(グラフ3)という異なった3つの販売指標を用いて、1975年から2015年までの各年の米国における個人生命保険の販売状況を見たものである。
 
1|新契約年換算保険料収入で見た販売状況(グラフ1)
新契約年換算保険料は、生保会社が新たに契約した生命保険契約から得られる保険料を、月払い形態の保険料であれば12倍、年払い形態の保険料はそのまま、一時払い形態の保険料は10分の1にして年換算し、足し合わせたものである。米国では、年換算保険料が主要な指標として用いられている。

1990年代半ばから続いてきた新契約年換算保険料の増加傾向は金融危機を契機に、2008年と2009年に大きく落ち込み、その後再び増加基調を取り戻している。2015年には+6%の伸びを見せ、金融危機直前の2007年(143億ドル)に迫る140億ドルまで回復した。
グラフ1 米国 個人生命保険の新契約年換算保険料の推移
2|新契約販売件数で見た販売状況(グラフ2)
販売された契約の数の推移を見たものがグラフ2である。販売件数の長期トレンドとしては、1980年代初頭をピークに減少傾向にある。ただし金融危機後の各年は、微増、微減で、結果、横ばいの状況にあった。2015年には対2014年で+10%と、年換算保険料(+6%)や新契約保険金額(+5%)の増加を大きく上回っているが、特定の生保会社が団体生命保険を個人生命保険に変更したという特殊要因による上乗せがあったためということである。

調査対象生保会社数を異にする別の調査結果では2015年の新契約件数の伸びは4%となっている。
グラフ2 米国 個人生命保険の新契約販売件数の推移
3|新契約高(新契約死亡保険金額)で見た場合の販売状況(グラフ3)
グラフ3は、販売された新契約の死亡保険金額の合計額の推移である。個人生命保険は、死亡保障または貯蓄を主な目的とする契約であるので、保険金額は大きな意味を持つ。

新契約高は2007年をピークとして、金融危機後2010年まで落ち込み、以降の各年は微増と微減を繰り返して、概ね横ばい状況であったが、2015年には対前年+5%増加した。グラフの形は新契約販売件数のグラフに似ている。
グラフ3 米国 個人生命保険の新契約高(新契約死亡保険金額)の推移
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