2016年09月08日

働き方改革はどこに向かうのか~時間制約のあるフルタイム勤務への「移行」と「多元化」

生活研究部 主任研究員   松浦 民恵

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■要旨
  1. 本稿では、働き方改革が活発化している背景や取組内容を概観し、取組の方向がどのような流れにあるのかについて考えている。
     
  2. 働き方改革の取組が活発化している背景としては、(1)ダイバーシティ・マネジメントのインフラ整備、(2)生産性向上への期待、(3)働き方改革への政府のコミットが強まってきたこと、があげられる。
     
  3. 働き方改革の取組は大きく「労働時間の制限」と「働き方の柔軟化」から構成されており、「労働時間の制限のみ」の企業と、「労働時間の制限」と「働き方の柔軟化」を併用している企業でほぼ2分される。
     
  4. このような働き方改革によって、「時間制約のないフルタイム勤務」及び「短時間勤務」からの「時間制約のあるフルタイム勤務」への「移行」が進む。ただし、「時間制約のないフルタイム勤務」から「時間制約のあるフルタイム勤務」への移行については企業や職場によって働き方改革の推進にバラツキが生じるという意味で、「短時間勤務」から「時間制約のあるフルタイム勤務」への移行については短時間勤務者の個別事情には配慮されるという意味で、「多元化」が進むと考えられる。
     
  5. 「時間制約のあるフルタイム勤務」への移行については、「時間制約のないフルタイム勤務」「短時間勤務」のどちらからの場合についても、いずれインセンティブや処遇の見直しが必要な段階に入ってくると考えられる。つまり、労働時間の制限や働き方の柔軟化による働き方改革の次の段階として、インセンティブや処遇という人事管理政策の見直しが問われることになる。さらにいうと、働き方改革は経営戦略にもかかわるものである。働き方改革をより実効的に進めていくためには、人事管理政策、さらには経営戦略へと、改革の射程を広げていく必要があるだろう。
■目次

1―働き方改革の3つの背景
  1|働き方改革に取り組む企業の増加
  2|ダイバーシティ・マネジメントのインフラとしての働き方改革
  3|生産性向上に向けた働き方改革
  4|政府も働き方改革にコミット
2―労働時間の制限と働き方の柔軟化による働き方改革
  1|働き方改革の概観~労働時間の制限と働き方の柔軟化
  2|働き方改革の、短時間勤務者等に対する影響
3―働き方改革はどこに向かうのか
  1|働き方改革の潮流~移行と多元化
  2|働き方改革の今後に向けて
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生活研究部   主任研究員

松浦 民恵 (まつうら たみえ)

研究・専門分野
雇用・就労・勤労者生活、少子高齢社会

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