2016年09月06日

まずは3年運動をしてみる~中高年男性の、運動実施率とBMIの5年観察

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

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■要旨

本稿では、中高年男性に多い「肥満1度」に注目し、5年後にBMIが改善した層、変化がなかった層、悪化した層にわけて、5年間の運動の実施・継続状況を確認した。

その結果、5年後に普通体重に改善している層で、運動実施率は年々上昇していた。しかし、肥満2度以上に悪化した層では、年々低下しており、5年後の運動実施率は改善している層と比べると10ポイント以上の差があった。また、5回の健康診断のうち運動を実施していた回数別の改善状況をみると、運動実施回数が多いほど、普通体重への改善割合が高い傾向があった。これらは、BMIの改善に向けては、運動を単発ではなく、継続的に実施する必要性があることを示している。

「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上」といった気軽な運動であっても、5年のうち3年程度以上実施していれば、普通体重への改善が見られた。まずは、3年、30分程度の運動をしてみてはどうだろうか。

■目次

1――40~60歳代男性の3割強が肥満
2――肥満1度の40~50歳代男性の運動実施率と5年後のBMI
  1|肥満1度の運動実施率は16.3%。普通体重と同程度。
  2|5年後のBMIは、18.1%が改善。5.3%が悪化。
  3|BMI改善層は、5年間で運動実施率が上昇
  4|5回の健康診断のうち3回以上「運動実施」で24%が改善
3――まずは3年運動をしてみる

1――40~60歳代男性の3割強が肥満

1――40~60歳代男性の3割強が肥満

図表1 BMIによる肥満判定基準 肥満を判定する指数の1つに、BMI(Body Mass Index)がある。BMIは、「体重[Kg]/(身長[m])2」で計算することができ、同じ体重であれば、身長が低いほどBMIは大きく、同じ身長であれば、体重が重いほどBMIは大きくなる。国内では、BMIによる肥満判定として、図表1の判定基準を使っている1。「肥満」と判定されるのはBMIが25以上の人である。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査(平成26年)」によると、性別・年齢階級別の「肥満」の割合は、男性は、20歳代以降年齢とともに高くなり、50歳代をピークとして、以降は低下する。40~60歳代男性全体の3割強が肥満である。女性は、年齢が高いほど高い(図表2)。
肥満の程度別にみると、男女とも、BMIが30以上の「肥満2度以上」の割合は1割未満に留まり、肥満の多くがBMIが25以上30未満の「肥満1度」である。この「肥満1度」は、中高年男性に多いことが特徴的だ。

肥満に加え、血圧や血液検査の結果にも異常がある場合、糖尿病、脳血管疾患、心疾患などの生活習慣病を引き起こす可能性が高いことがわかっている。改善策の1つとして、肥満防止・解消のための定期的な運動を行うことが推奨されている。
図2 性別・年齢階級別のBMIの状況 

1 日本肥満学会による判定基準。WHOでは、BMIが25以上30未満は「過体重」、30以上を「肥満」としている。
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
健康・医療、生保市場調査

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