2016年09月05日

未婚の原因は「お金が足りないから」という幻想-少子化社会データ検証:「未婚化・少子化の背景」は「お金」が一番なのか-

生活研究部 研究員   天野 馨南子

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はじめに-未婚化が少子化に大きな影響を及ぼす日本 

1995年以降、合計特殊出生率が恒常的に1.5未満となる超少子化社会に突入し20年以上が経過した日本。合計特殊出生率1.8が国の目標とされ、様々な政策が模索されている。

少子化対策の一つとして現在とりくまれている政策が「未婚化対策」である。勿論、結婚しなければ産んではいけないなどということはない。むしろどんな形であれ、この世に生まれくる命を社会であたたかく迎え、社会全体で可能な限り健やかに育もうとする社会のあり方は歓迎されるべきものである。

しかしながら、統計的にみれば日本は結婚を伴わない出生は極めて少ない国1である。

図表1の通り、日本の婚外子比率はこの半世紀以上2%の周辺を推移している。

つまり、日本ではほとんどの場合、結婚から出産というステップを踏んで子どもたちがこの世に生を受ける慣習があるのである。このような慣習の国において未婚化が進行することは、そのまま少子化が進行することを意味している。
【図表1】日本における婚外子比率の推移 (縦軸:% 横軸:年)
未婚化と少子化に立ちはだかる「まだ若すぎる」の壁-少子化社会データ検証:「逆ロールモデルの罠」-でも示したが、2010年において既に男性の5人に1人、女性の10人に1人が「生涯未婚」2であると定義されている。

20歳から49歳までの男女に対する意識調査結果からは、「結婚できないのは、お金が足りないからだ」という認識が社会の主流となっていることが示されている(図表2)。これはアンケートによる定性的な「意識調査」による結果である。しかし、この調査は未婚者以外も含む一般的な意識調査であるがゆえに、それがそのまま問題の解決策を考えるための前提として有効な回答かは検討が必要である。

すなわち他人事について「こうではないか」と想像で回答しているケースも含まれており、社会の風潮をよく表すものであったとしても、未婚者の実際の意識はまた別にあるかもしれないのである。

本稿では「お金が足りないから結婚が出来ない」にまつわるデータを定量的に分析することで「本当にお金が足りないから結婚できないのか」の解にできるだけ迫ることを目的としている。
【図表2】生涯未婚率はなぜ上昇していると思うか(複数回答、%)
 
1 ちなみに厚生労働白書によれば、他の先進国の婚外子比率は、フランス52.6%(2008)、スウェーデン54.7%(2008)、イギリス43.7%(2006)、アメリカ40.6%(2008)、ドイツ32.1%(2008)、ドイツ32.1%(2008)、イタリア17.7%(2008)などとなっている。
2 調査時点で50歳であり、1度も結婚経験がない者を生涯未婚として生涯未婚率は計算される。
 

1――そもそも未婚者のライフプランに結婚・出産はあるのか?

1――そもそも未婚者のライフプランに結婚・出産はあるのか?

未婚化の原因について、検証を行う前提として、まず未婚者の意識について見ておくこととする。

そもそも結婚したくない人が増えているので生涯未婚率が上昇しているのではないかという認識は、図表2でも生涯未婚率上昇の原因と社会が考える要素の第2位となっている。

結婚や出産はあくまでも個人のライフプランの一つである。そのため、もし未婚者の結婚や子どもを持つことへの意欲が減少したならば、(たとえお金があっても)未婚化は進行してゆくと考えられる。

図表3は18歳以上35歳未満の未婚者の結婚希望の推移を表した図表である。男女とも約9割が「いずれは結婚するつもり」と回答している。日本においてはこの20年以上もの間、結婚希望割合は男女とも非常に高い、ということがみてとれる。
【図表3】未婚者の生涯でみた「いずれ結婚するつもり」回答割合 (縦軸:% 横軸:調査年)
次に未婚者は子どもが欲しいと思っているのか、についても検証する。結婚希望があっても子どもが欲しいと思わない人々も当然いる。しかし、その割合が高ければ、日本において未婚化が解消しても少子化は解消しにくい、ということになる。

図表4は未婚者の希望の子ども数の推移を示したものである。この20年間をみると安定して未婚男女とも平均すると2人を希望していることがわかる。ちなみに結婚意志がある未婚者のうち、希望の子ども数は0である(子どもは欲しくない)と回答した割合は、わずか男性6%、女性5%であった。
【図表4】 未婚者の希望の子ども数(縦軸:人 横軸:調査年)
以上のデータから、日本における未婚者はほぼ9割が結婚を希望しており、また結婚意志がある未婚者は子どもを希望しており、平均すると2人欲しいと思っているということがわかる。

つまり、結婚意欲のある未婚者が結婚に至らないなんらかの障害が確かにあり、それが取り除かれることによって生涯未婚率を低下させることが可能である、と考えられる。
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生活研究部   研究員

天野 馨南子 (あまの かなこ)

研究・専門分野
少子化対策・女性活躍推進

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