2016年09月05日

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7月下旬に公表された簡易生命表で、寿命や余命が昨年より延びていることが確認された。予想された内容とは言え、老後とりわけ長生きへの備えの必要性を再認識させられる結果である。

長生きへの備えは、終身年金が支給される公的年金がベースとなる。しかし、少子高齢化の進展とともに、実質的な給付水準の引き下げが見込まれており、もはや十分な備えを期待できない。他方、企業年金においては、終身年金を提供するプラン数は減少傾向にある。現行の制度体系のもとでは、個人レベルで長生きに備えなければならない。

しかし、老後に資産取崩しの絶妙なコントロールが求められる長生きへの備えを、個人レベルで実践するのは容易ではない。備えが過少となれば生活困窮者の増大を招き、逆に貯蓄が過剰となれば、消費抑制を通じて経済に悪影響を及ぼすことになる。いずれにしても、社会的なコストが高まることが想像される。

やはり、長生きへの備えについては、国のサポートが必要だろう。公的年金の給付水準の改善や他の制度の導入など、国として個人の長生きリスクをサポートする仕組みの整備が急がれる。
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(2016年09月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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