2016年08月24日

【東南アジア経済】ASEANの消費者物価(8月号)~食品価格に頭打ち感、インフレ圧力は一層鈍化

経済研究部 研究員   斉藤 誠

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(図表1)ASEAN6ヵ国消費者物価上昇率 ASEAN主要6カ国の消費者物価指数(以下、CPI)の上昇率(前年同月比)は、昨年後半から原油安による物価下押し要因の一巡を受けて緩やかな上昇傾向にあるが、足元では景気停滞や干ばつによる食品価格の上昇に頭打ち感が見られ、インフレ圧力は一層弱まりつつある(図表1)。
 
 
(図表2)インドネシアCPI上昇率(寄与度) インドネシアの16年7月のCPI上昇率は前年同月比3.21%増(前月:同3.45%)と小幅に低下した(図表2)。前月はレバラン(断食明け大祭、7月上旬)を控えた消費財や輸送コストの上昇が全体を押上げたものの、7月はその反動で低下した。

主要品目別に見ると、食材が同6.81%増(前月:同7.77%増)と低下し、運輸・通信・金融も同1.49%減(前月:同0.99%減)とマイナス幅が再び拡大した。一方、加工食品・飲料・タバコが同6.19%増(前月:同6.16%増)、衣類が同4.30%増(前月:4.24%増)、住宅・電気・ガス・燃料は同1.29%増(前月:同1.18%増)と、小幅に上昇した。

食料品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同3.49%増(前月:同3.49%増)と、年明け以降は横ばい圏で推移している。

中央銀行は8月19日の金融政策会合では、新たに適用した政策金利指標(7日物レポ金利)を据え置いたものの、CPI上昇率は依然として中央銀行のインフレ目標圏内(3-5%)の下方で推移しており、依然として先行きの追加利下げの可能性は高いと見られる。
(図表3)タイCPI上昇率(寄与度) タイの16年7月のCPI上昇率は前年同月比0.10%増(前月:同0.38%増)となり、2ヵ月連続で低下した(図表3)。

主要品目別に見ると、食品・飲料は同1.83%増(前月:同2.80%増)と、雨季入りで干ばつの影響が和らいだことから価格が高騰していた野菜を中心に低下した。また住宅・家具は同1.41%減と8ヵ月連続のマイナスとなった。一方、運輸・通信は同2.03%減(前月の同2.37%減)と、引き続き原油価格の底打ちを受けてマイナス幅が縮小している。またタバコ・酒類は同13.06%増と、2月のタバコの物品税引き上げを受けて二桁増が続いている。

また生鮮食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は年明けから緩やかな上昇が続いていたが、7月は同0.76%増(前月:同0.80%増)と7ヵ月ぶりに小幅に低下した。

インフレ率は昨年後半から上昇傾向にあるものの、依然としてタイ銀行(中央銀行)のインフレ目標の範囲内(1-4%)を下回る低水準に止まっている。政府は今年のインフレ率を0.0-1.0%の低水準になると予想している。

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経済研究部   研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
アジア・新興国経済

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