コラム
2016年08月25日

東京オリンピック2020への期待 -「五輪メダル」よもやま話(その3)

土堤内 昭雄

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日本時間の8月22日に閉幕したリオ五輪2016では、日本は史上最多となる金12、銀8、銅21の合計41個のメダルを獲得した。オリンピックは個人または団体による競技で国家間の競技ではないとされるものの、実際には日本代表として試合に臨む選手への重圧は計り知れないだろう。それだけに苦しい練習に耐え、厳しい試合に勝ち抜いて獲得した五輪メダルは、選手にとって非常に重いものだ。

選手が手にする五輪メダルは、2004年までのオリンピック憲章には詳細な基準が記載してあった。『メダルは、少なくとも直径60ミリ、厚さ3ミリでなければならない。1位及び2位のメダルは銀製で、少なくとも純度1000分の925であるものでなければならない。また、1位のメダルは少なくとも6グラムの純金で金張り(またはメッキ)が施されていなければならない。』とある1

現在ではメダルの形状に関する細かな記載はなく、今回のリオ五輪のメダルは直径が8.5センチ、重さが500グラムでロンドン大会のメダルより100グラム重いそうだ。また、五輪メダルには環境への配慮が求められる。全部で5千枚ほど作られたリオ五輪メダルの場合、銀メダルと銅メダルの30%はリサイクル素材が使われ、首から掛けるリボン部分の素材の半分は再生プラスチックでできている。

1994年にはオリンピック憲章に環境項目が追加され、2015年版の「IOCの使命と役割」には『環境問題に対し責任ある関心を持つことを奨励し支援する。またスポーツにおける持続可能な発展を奨励する。そのような観点でオリンピック競技大会が開催されることを要請する。』と記載されている2。環境都市を標榜する「東京」で開催される次回も、素晴らしいエコ型メダルの採用を期待したい。

8月22日(日本時間)のリオ五輪の閉会式では、リオ市長から東京都の小池知事に五輪旗が渡った。受け取った小池知事は、『五輪旗は重くはないが、五輪を成功させる責任は極めて重い』と語った。そして次回開催地「東京」の紹介があり、スーパーマリオに扮する安倍首相が会場に現れて注目された。2020年の東京が成熟社会としてどんな五輪を開催するのか、いま世界中の期待が集まっている。

1964年東京五輪では、新幹線や首都高速道路などの都市基盤の整備が進んだ。2020年東京大会では、自転車シェアシステムの構築や選手村のフードロスの最小化など、さまざまな環境問題への取り組みが検討されるだろう。日本は2度目の五輪開催国だ。史上最多のメダル獲得だけではなく、世界中の人々の記憶に残るオリンピックとして金メダルを目指さなければならない。今後4年間は、その実現に向けた持続可能社会を築くためのハード・ソフト両面の社会変革の時間になることを期待したい。
 
 
1 2003年版オリンピック憲章(P.104)
2 2015年版オリンピック憲章(P.15)
(参考)研究員の眼 『「銀メダル」では、ダメですか?~「五輪メダル」よもやま話(その1)』 (2016年8月23日)
    研究員の眼 『メダリストが魅せる“ガッツポーズ”~「五輪メダル」よもやま話(その2)』 (2016年8月24日)
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(2016年08月25日「研究員の眼」)

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