2016年08月09日

IAIS(保険監督者国際機構)によるICS(保険資本基準)について-公表された市中協議文書の概要と関係団体からの初期反応等-

中村 亮一

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5―2016 ICS CDに対する反応

1|Insurance Europe(欧州保険協会)のコメント
2016 ICS CDに対して、Insurance Europe の副事務局長のOlav Jones氏は、以下のように、「タイムテーブルがあまりにも野心的である。」「ICSのための政治的支援の不足を懸念している。」「ソルベンシーⅡのようなICSの枠組みと整合的なローカルの制度は、それの適切な実施として認識されるべきである。」とのコメントを述べている6
Insurance Europe(欧州保険協会)のコメント
 
6 ICSについては、2015年5月に、実施時期が2016年末から2019年末に延期されている。
2|AIA(米国保険協会)及びPCI(米国損害保険会社協会)からの反応
格付け会社のAM Bestによれば、AIA(American Insurance Association:米国保険協会)の顧問弁護士で金融規制政策ディレクターのPhillip Carson氏は、Best’s News Service に対して、以下のように述べている。
AIA(米国保険協会)及びPCI(米国損害保険会社協会)の反応
また、同じくAM Bestによれば、PCI(Property Casualty Insurers Association of America:米国損害保険会社協会)の金融政策に関する副会長Steve Broadie氏は、Best’s News Serviceに、以下のように述べている。
副会長Steve Broadie氏のコメント
3|米中保険対話における声明における言及
ニューヨークにおいて、7月に、米国と中国の保険監督当局の代表者がそれぞれの保険市場が直面する重要な問題を議論するための会合が開催された。米国からは、NAIC(全米保険監督官協会)会長のJohn M. Huff氏、NYDFS(ニューヨーク州金融監督局)局長のMaria Vullo氏及び執行役副監督局長のScott Fischer 氏が、CIRC(中国保険監督管理委員会)からは、会長 Xiang Junbo氏、局長Jiang Bo氏、ディレクターZhu Yanhui氏及び課長Huo Hongqiang氏が参加していた。

これを受けて、7月26日に声明が公表されたが、この中で、ICSに関して、以下のように触れられている。
米中保険対話における声明における言及
即ち、米国と中国の保険規制当局は、世界的な保険資本基準(ICS)の開発に対して、「ゴースロー・アプローチ(漸進的手法)」を要求し、異なる国の実施に対して柔軟性を認める必要性を示唆している。

4|米国連邦準備制度理事会(FRB)の反応
5月に、FRB(連邦準備制度理事会)のDaniel K. Tarullo理事は、ICSに関して、「グローバルに一貫性のある会計基準や評価アプローチや商品の定義が欠如していること等から、私たちが監督する保険会社に適用される資本要件を前方に進めるためのオプションとしては、不十分に開発された。」ことを指摘していた。
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中村 亮一

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